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「霧山くん!今日のお弁当に唐揚げはあるかな〜?」

「は、入って…ませんよ」

「それは残念。ユイユイは霧山くんの唐揚げ食べたかったのにな〜」

「マジかよ!?俺も食べたかったわ!」


学校の昼休み。

いつものようにトラとタカと食べようとしたら、篠宮里沙と朝日奈結衣が一緒に食べようと近づいてきた。


「そんなに美味しいなら、私も食べてみたいな」

「リサリサも食べてみた方がいいよ!ユイユイね!感動したんだから!」

「え〜、そんなに美味しかったの?」

「うん!ホントに美味しかったよ!もうね〜!ジューシーでね〜」


朝日奈結衣は唐揚げを熱弁してくれている。

褒めてくれることは嬉しいが、

タカが今日も一緒に食べるのかよと黙ったままだ。


「おい!篠宮!今日は俺と日直だろ?日誌書くからよ。学食で食おうぜ」

「あ、萩原くん。でも、私はお弁当だから…」

「弁当でも学食で食ってもいいだろ?なぁ、孝二?」


萩原優吾と竹下孝二が近くに来た。

今日は萩原優吾と篠宮里沙が日直のようだ。


「ああ、優吾の言う通りだぜ。俺らと一緒に食おうぜ!」

「で、でも、私はユイと一緒に食べるから…」

「朝日奈も一緒に来ればいいだろ?」

「そうそう!朝日奈も来いよ!」


どうやら日誌を書くために、

一緒にご飯を食べたいようだ。

どうぞ、彼らと一緒にお食べください。

そう思っていると…


「なぁ、萩原。日誌書くのはさ!別に弁当食べ終わってからでもよくね?俺らがさ!ユイユイと篠宮さんと一緒に食べることになってんだわ」

「あ?何だよ、一之瀬?別にそんなん決まってねーだろ?」

「まぁ、決まってはいねーけどさ。篠宮さんは萩原達と一緒に行くの嫌そうにしてんじゃん」

「は?意味わかんねーんだけど。てか、お前らみたいなオタクと一緒にいること嫌がってんのに気付いてねーの?」

「あ?いま、何て言ったよ?」


トラと萩原優吾が言い合いをしはじめた。

だが、萩原優吾よ。僕はオタクではない。

オタクとは好きなことにステータスを全振りすることができる偉大なる尊敬できる方々の総称である。

足下にも及ばない僕のことをオタクと呼ぶことが、どれだけおこがましいことなのか理解できるだろうか?

僕はオタクの卵でしかないのだ。


もう一度言おう。

僕はオタクの卵でしかないのだ。


「何度でも言ってやんよ。お前らみたいなキモオタとなんか一緒にいたくねーって思ってんだよ。察しろよ、バーカ」

「は?お前みたいなDQNに言われたくないんだけど?」

「あ?テメー、俺のことバカにしてんのか!あ!?」


萩原優吾はトラの胸ぐらを掴んだ。

そこにクラスで1番イケメンと言われているらしい、

田中蓮が登場した。


「萩原くんも一之瀬くんも!喧嘩はよくないよ!」

「うっせーな!蓮は黙ってろよ!!」


田中蓮はイケメンなのにみんなと仲良く!がキャッチフレーズなのか、誰に対しても同じように接する人だ。

だから、クラスで揉め事があると率先しておさめようとしてくれている。この間の萩原優吾と後藤陽平の時もそうだった。


そこにギャルの二人組が現れた。

涼川愛夏と伊藤陽菜だ。


「うわ!優吾ヒドくね?蓮は喧嘩すんなって言ってるだけじゃん!」

「そうそう!悪いのは喧嘩するお前らじゃん?」

「愛夏も陽菜もうぜーよ!蓮がイケメンだからって、なに取り入ろうとしてんの?マジでウザいんだけど」

「は?なに?アタシらに喧嘩売ってんの?」

「涼川さんも伊藤さんも落ち着いて!」

「蓮もイケメンだからって女子にチヤホヤされて、チョーシ乗ってんじゃねーよ!」


うわぁ。なんか大惨事だなぁ


「おい、萩原。俺のこと無視してんじゃねーよ」

「つかよ、オメーらはどう思ってんだよ!!」


萩原優吾は僕とタカにそう聞きながら、

僕が座っている机を強く蹴った。


衝撃が強くてそのまま机ごと倒れてしまった。


「はっ!ダッセー!こけてやんの!」

「テメー!リクに何てことしやがんだよっ!」

「あ?チョーシ乗ったオメーらが悪いんだろうが。何?一之瀬と霧山って付き合ってんの?」

「ぷっ。それウケるんですけど!」

「たしかに!なんかお似合いじゃん!」

「ふざけんじゃねぇぞっ!」


トラも萩原優吾の胸ぐらを掴み返して睨んでいる。


「ちょっと!みんな落ち着いて!」


田中蓮は相変わらず、頑張っているな。


「てかさ、霧山ってナヨナヨしててキメーんだよ。お前って本当に男なの?俺に蹴り飛ばされてムカつかないわけ?マジでダサいんだけど!」

「ちょっ!優吾!それマジでウケるから!」


萩原優吾と竹下孝二。

それに涼川愛夏と伊藤陽菜が僕を笑っている。

トラはそれにキレて、ふざけんなっ!と言って。

タカは何も言わずにキレているのがわかった。

篠宮里沙と朝日奈結衣はオロオロとして、

どうにかしようとしているようだが…


「ねぇ、ここは動物園なのかしら?」

「あ?」


萩原優吾に白雪姫花が話しかけた。


「さっきから発情した猿の声がうるさくて、勉強に集中できないのだけど?」

「なんだと?」

「あまりにもうるさいから最初から聞こえてきていたのだけれど、話の論点がズレすぎて話にならないわ。あなたは日直なんでしょ?さっさと食事を済ませて日誌でも書けば?それに、そっちのあなたも…誰が誰と食べようと自由なはずなのではないかしら?それを勝手に決めるのはどうかと思うのだけれど。そもそも最初から本人に聞いたらよかっただけの話ではないのかしら?篠宮さんはどう思っているのか聞かせてもらえる?」

「わ、私はユイと食べます」

「そう。なら朝日奈さんと食べればいいわ。それで話は終わりでしょ?もう騒がないでもらってもいいかしら?」

「お、おう。白雪さん…悪かった」

「チッ…篠宮!メシくったら日誌書くかんな!忘れんなよ。行こうぜ、孝二」

「おう。あんまチョーシ乗んなよ?」


萩原優吾と竹下孝二は学食に行ったようだ。

ギャル二人組も田中蓮と話している。


「蓮さ〜。あんまり、喧嘩とか関わんない方がいいんじゃね?」

「そうそう。あんなのバカのすることじゃん!わざわざ蓮が止めなくてもいいじゃん!」

「そうかな?俺はクラスのみんなが仲良くしてくれたら嬉しいって思ってるかな?」

「え〜!やっぱ、蓮っていい奴なんだね〜」

「わかる〜!アタシも思ってた〜」

「そうかな?ありがとう」

「蓮さ〜。今からアタシらと一緒にご飯食べようよ!」

「いいじゃん!それ!てか、アタシが奢っちゃうよ」

「いや、そんな!奢ってもらうのは悪いよ」

「いいじゃんいいじゃん!行こっ!」

「う、うん。わかったよ…あれ?最近、涼川さんメイク変わったのかな?」

「えっ?蓮わかるっ!?化粧品変えたんだ〜!」

「え?愛夏また新しい化粧品買ったの?最近、新しいの買ってばっかりじゃね?」


そんな話をしながら3人も学食に行ったのかな?


「し、白雪さん…うるさくして…ごめんなさい」

「別に…思ったことを言っただけなのだけれど」

「喧嘩になっちゃって…ユイユイ、ビックリしちゃったよ」

「おい!リク!大丈夫か!?」

「うん。大丈夫だよ」

「怪我とかねーか?」

「大丈夫だって。ちょっと擦り傷が出来たぐらいかな?」

「3人とも…ごめんね。私のせいで…」

「いやいや、篠宮さんは悪くないっしょ?」

「で、でも…」

「あいつらがイチャもんつけてきただけだからさ!」

「う、うん…」

「トラ…話がある」

「タカ…わかった。ごめんな!今日はさ!先に2人とも食べててよ!」

「う、うん。わかった」


篠宮里沙と朝日奈結衣は2人で弁当を食べはじめた。

僕はトラとタカと一緒に教室から出た。

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