102
「ユイにお願いがあるのだけれど」
「え?どうしたの?」
「ユイのご家族に会わせてもらえないかしら?」
「え、えぇー!!どうしたんだい!?」
「ダメなのかしら?」
「いや!ダメってことじゃないけどさ!いきなりだったからさ!ビックリしちゃって…」
「それで会わせてもらえるのかしら?」
「ダメ…ではないんけどね…なんか…どーゆう感じで会わせたらいいんだろ…なんて…ね?」
「それなら今日、一緒に帰ればいいと思うのだけれど。ユイが帰り着いた時にお会いできなかったとしても、また機会を作ってもらえたら嬉しいかしら」
「そ、そうなんだぁ…でも、ヒメ?どうしたの?」
「ただユイのご家族がどんな方々なのかお会いしてみたくなっただけかしら?」
「そ、そっかぁ…」
白雪姫花は結衣さんのご家族に会いたいようだ。
これでもかと言わんばかりの強引さを感じていたが、
僕には関係のない話だ。
「それと、リクくんも一緒に帰ってくれるかしら?」
突然、僕に話題を振ってきたので驚いた。
「…何の話でしょうか?」
「今日は一緒に帰りましょうと言っているの」
「…どうしてですか?」
「ユイと一緒に帰ることになったからかしら?ユイのご家族とも仲良くしているのよね?それなら、リクくんもいた方がいいと思ったのだけれど…」
「…僕がいなくてもお二人は友人ですから、かまわないのではないですか?」
「…そうね。それなら理由を変えようかしら?姫がリクくんと帰りたいから…それならどうかしら?」
「…余計に断りたくなってしまいますね」
「冗談だったのだけど?」
「…冗談には思えませんでしたが」
「半分は本心だもの」
「…半分は…なんですね」
「メイが会いたがってたからりっくんも来てくれたら嬉しいかな?ヒメといきなりあってもビックリしちゃうだろうからさ!」
「…そうですね。わかりました」
「それなら決まりかしら?」
「…そういうことになりますかね」
今日は3人で帰ることになった。
「そう言えば、リクくんはもう放課後の用事はよかったのかしら?」
白雪姫花は敢えて用事と言っているように聞こえた。
「そうですね。もう終わったことですので…大丈夫ですよ」
「そう…。それならいいのだけど…」
「よっ!リク!なに話してんだよ?」
「そうだね。結衣さんと白雪さんが一緒に帰ろうって話かな?」
「え?そうなん?なんか珍しいじゃん!」
「そうだね。白雪さんが結衣さんのご家族に会いたいみたいだよ」
「ふーん。そうなんだな!え?てか、何でそれにリクが誘われてるん?」
「ユイのご家族とリクくんが仲良くしてるからかしら?」
「え!?マジで!初耳なんだけど?」
「…それは俺も聞いたことなかったな」
トラとタカが驚いた表情をしている。
「あれだよ!たまたまりっくんが妹の怪我の手当してくれてさ!それから仲良くなってたんだよ!ユイユイだって後から知ったんだからね!」
「そんなことあったんだな!」
「…リクなら手当とかしてあげるだろうからな」
「え?でも、なんで白雪さんはユイユイの家族に会いたいわけ?」
「友達の家族に会いたいと思うことは悪いことかしら?」
「いや!そういうことじゃねぇーけどさ…」
トラが思うように白雪姫花が結衣さんのご家族に会いたいと思っている理由は僕にもよくわからない。
「それならさ!みんなで一緒に帰ろうよ!」
「結衣さん…何故そうなるのですか?」
「え?ユイユイ…変なこと言ってるかな?」
「ん〜、まぁ変なこと言ってる訳じゃねぇけどさ!ごめんな!俺は図書館に寄ってから帰るからさ〜」
「…俺も愛夏と帰るからな…悪いな」
「そっか〜…それなら仕方ないのだよ!」
「それなら今日は3人で帰るということで決まりかしら?リクくん?わかったかしら?」
「…わかってますよ」
そう言って、
白雪姫花と結衣さんは自分の席に戻っていった。




