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学校から帰ろうとすると、

正門に広橋麻里菜が立っていた。


「おい!霧山!」


こういうの本当にやめてほしいなぁ…

僕は広橋麻里菜に返事を返さずに歩く。

おい!シカトすんなよ!と言いながらも、

後ろをついてくる。


ある程度、学校から離れた場所で振り返る。


「…あの…何ですか?」

「何ですかじゃねーよ!アンタがいつも話の途中でいなくなんのがいけないんだろー!」

「…話は終わっていますよね?」

「はぁ?終わってねぇーよ!アタシがまだ奢ってねぇじゃんか!」


奢りたい人間の態度じゃない気がするけど…


「…あの…いりませんとお伝えしましたよね?」

「アタシがするって言ってんだから受け取れよな!」

「…押し売りですか?」

「何か言ったか?ほら!行くぞ!」

「…行きません。僕はもう関わらないでもらえたらそれで充分なのですが…」

「でも、ほら!霧山には迷惑かけただろ!?」


今、この状況が迷惑なことに気づかないんだなぁ…

これ以上関わるのも面倒なので、早く奢ってもらって解放してもらった方がいいかもしれないと思った。


「…わかりました。そこの自販機で奢っていただけますか?」

「おっ!やっとで奢られる気になったか!素直になればいいんだよ!素直になれば〜」


そう言って、広橋麻里菜は自販機に小銭を入れて、

好きなの押せよと言った。

僕はボタンを押し、缶コーヒーがガタンと落ちてくる。


「…ありがとうございます」

「よし!じゃあ、これで貸し借りなしだな!ったく…霧山のくせにどんだけ時間かけさせんだよ!忠三にくんのも時間かかんだかんな!」

「…申し訳ありません」


なら、わざわざ来なくてよかったのにとか、

そもそも一方的に迷惑かけられてるんだけどなぁとか、

考えてしまったが、面倒なことになりそうなので

僕は何も言わなかった。


「それで霧山!連絡先教えろよ!」

「…え?」

「は?だから、連絡先、教えろって」

「…もう用件は済みましたよね?何故、教えなければならないのでしょうか?」

「は?アタシが奢ってやったんだからもうダチだろ?」

「…申し訳ありませんが、友達ではありません」

「はぁ!?何でだよ?アタシを庇って殴られてよ!それで飲み物も奢ってやったんだ!ダチ以外のなんだってんだよ?」

「…そもそも庇ったつもりもないのですが?あなたに巻き込まれて殴られただけです。勘違いされていませんか?」


アタシがダチだっつたら喜べよっ!

こんなに可愛い女子がダチなんだぞっ!

だとかなんとかギャーギャーと騒いでいる。

もう疲れた。


「広橋さん」

「あ?なんだよ?」

「貸し借りなしですよね?」

「あ、ああ?そ、そうだけど…」

「でしたら…もう関わらないでもらえますか?」

「は、は?」


僕は彼女の返事を聞くことなくその場を後にした。

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