遅い春
春になると木々は芽吹き、草たちは起き上がります。私はまだジッとしたままですか?
「木の芽」
昨日の雨が、今日の陽に溢れ
群れなす一滴の光が体を潤す
真っ青な宇宙には雲の影はなく
塩辛い水に溶け込み
海はウルトラマリーン
空間を鋭く区切る境に
小さな影たくさん
互いに囀りながら
遥かな時を流れる
そこここに春のにおいを感じ
冬は眠たげに欠伸をする
浅い水面の青さに
若葉のざわめきが映る
「春」
春一番の風のあと
心の野原の枯れ草は
乱れて倒れているが
暫くの静寂の中で
いつわりの世界に決別するか
未来永劫の時の流れに
乗り切れなかった私の心は
ひっそりと部屋の中
遥かな時の流れは
冷たく清冽に流れていくが
暖かみを待つ魂は
まだ孤独
外は春だというのに
「神話の主役の影」
灰色の雪雲が遠く内海の向こうから
やってくる
三月だというのに北風が寒い
青さの広がりがまだ冬を手ばなしはしない
鳴りやまない風のうなりと
周囲から起こる風の体を切る音
空は寒い星空が広がっている
数々の神話・伝説を従え光る星座
それが語り掛ける時
新しい神話が始まる時を迎えるのか
星の光が潤み
宇宙が遥かに透きとおる
「春はまだ来ない」
三年前の人に恋をしている
そういわれてもしかたがないんだ
大きなお世話なんだけど
過去の美しい思い出を
壊されるのが怖くて
会いたい気持ちを
押さえている
思い出よりも
もっと素晴らしいかもしれないのに
「好き」と書かれた
その一言が
さらに重くのしかかる
私の気持ちを分かっているのか
冷たい北風は
体の横を吹き抜ける
春の声を聴く
三月と言うのに
外は雪
ああ
私の気持ちを分かっているのか
春はまだ来ない
いろんな意味の「春」の作品が続きます。しばらくお付き合いください。