立ち尽くした思い出
生きてるといろんなことが起きますよね。心に残ることは人それぞれなんでしょうけど、どうも私は偏りがちなようで・・・
「悲しみのイメージ」
悲しみがやってくる
遠い過去の
一つの時の流れの点
過去の思い出を押しのけながら
現在を過ぎ未来の彼方へ
もっともっとはるかなものへ
細く、長く、網の目を
通り抜けられないくらいの動き
時の流れをとめ
渦巻く心の意思を曲げ
遠い過去よりさらに大きな粉の白色
肉体の意思をただ流れる涙の針金
冷たい手の上の姿を
一息に消し飛ばす
舟の上にただ朽ちたしゃれこうべ
闇をその空ろな眼に宿して
心のあり様と鋭い光の筋をなす
ただ空ろな眼の中に浮かぶ
チェックのシャツと干からびた爪の跡
真っ青なインクをもって心の希望にとどめを刺し
死を愉しみと海の中に
肉体と心の意思を浮かばせる
ひとり明日の悲しみを待ちつづけ
屍に水滴がまつわる
ただ待ち続ける心の意思を
音のないレコードに耳を傾け
死の足音を聞き歯軋りすれども
死は一言ものせてくれない
ただ音のないレコードは回り続ける
悲しみがひとつやってくる
「あなたは憶えていますか」
あなたは憶えていますか
あまりに似ている者同士
苦しみと
悲しみと
美しく輝く涙と
あなたは憶えていますか
ただただ静かに立っている
離れてしまったふたり
あなたは憶えていますか
悲しいその運命
二人が選んだその行方
悲しみを
苦しみを
じっと耐えている
悲しさも
苦しみも
映し出す凍りついた
過去の流れ
あなたは憶えていますか
別れてしまった弱さを
耐えられない思い出と弱さを
「定かではない疑問の果て」
時の流れの柱の中に
たった一つの疑問がある
誰にも答えられなかった
その疑問にいつも
向かい合っている人がいる
一人、二人、三人、四人
数えきれない人たちは
みんなみんな孤独
孤独のさみしさと
離別の悲しさと
時の柱の冷たさに
すべて
すべて
沈んでしまっている
耐えられない静寂と
時の柱の凍るような冷たさと
誰一人として戦う者はないのか
ただ個々の
個々の意志だけが
小さな青い、しかし鋭い炎を上げている
見とおすことのできない霧が体を包み
別れの霜と露を巻き上げる
意志と意識の青い炎が揺らめいている
心の底の底の底
真っ白な天秤にかけられた無意識が
溢れて、零れて、広がりそうだ
時の流れの柱の周り
一人っきりのたくさんの人
孤独のさみしさと
死の悲しさと
時の柱の冷たさ・・・
「疲れた心の在り処」
真っ赤な夕日が血の色に見える時
透明な衣に包まれた心が
染まってしまうのではないか
汚れてしまうのではないか
「晩い冬の海で」
さわやかな空気と
遠い潮騒の音
落ち葉の間になにかしら
新しい生命を感じる時
木々の小枝に
不思議な匂いが見える時
夏の日の海で拾った
はるか遠くの思い出
北風の中に光をひろう
砂に埋もれた
波の音の移った巻き貝の殻
そんな季節
この冬の終わり
「夜景」
大宇宙の光
一滴の涙の広がり
悲しいことから立ち直れないことが続くと、どっと疲れますよね。楽しいことがなぜたっくさん残らないのか、誰か教えていただけないでしょうか？
