再びの放浪の予感
春を迎えるだけなのにこんなにも長くなりました。今の私には、物狂いの春は過ぎてしまったのか静かなことになったしまいました。
「宇宙の模型または春」
無数の埃が住んでいる
机の片隅の
何かお話している貯金箱
お皿の上にコップが乗って
コップの中にお水と花が入ってる
薄明るく、薄暗く
なにかしら安らぎらしき空気の漂う
小さな部屋に
黄色いフリージア
そこには光があふれてる
どこから来るのか静かな風に
花と同じに光も踊る
静かに流れる優しい香り
やわらかく包まれて
もうひとつ
うすぼんやりした机の上に
語り掛けたい優しい影
そっと浮かんで光を放つ
窓の外に吹く風が何処からか舞い降りて
わずかに埃を飛び立たす
何かを語り微笑みかける
私の宇宙の模型
心の中の宇宙
フリージアの空欠伸
「空に舞う」
私には神秘境がふさわしいんだ
乳色の霧に満たされた
何故かというと
私の心の中の空が抜けるように青いからさ
私には海の底がふさわしいんだ
寂とした水に包まれた
何故かというと
心の中の静けさがだんだんと熱くなるからさ
私には冷たい氷はいらないよ
透きとおる滑らかな氷
何故かというと
静かな海がきれいだし遠くの山も青いから
私にはきれいな小さな鈴はない
黄色いリボンのついている
何故かというと
太陽の優しい光で地面があたたかいから
「寂、寂」
埃の舞う静けさ
ひとりギターを抱いて
遠くの世界を恋しく思ってみる
いつまでも音は出ないのだけど
「繁華街を歩く」
車の黒い排気と、ガンと座っているビル
せわしない足音と、荒い息ずかいの中
魂は何処
コンクリートの壁の中
安らぎは何処
「放浪っ気」
遠い、遠い空の彼方まで
ゆらゆらさわがしい影とともに
あてどもなく続くブラウン運動
寂しい心の中に忍び入る
理想郷のごとく
「予感」
青い空に太陽が昇る
雲一つない空に
姿なき囀りが飛び交っている
犬の遠吠えの声はないけど
なにかしら雨風の匂いがする
「やはり雨」
雨が降る
土を濡らし
草を濡らし
体を濡らし
今日を濡らし
夢を濡らす
光が拡がって、広がって
新しい世界が出来上がるのか
お疲れさまでした、きっとどっと疲れてしまったことと思います。「失った時と・・・」もこの回で一区切りとさせていただきます。次からは、また、少し成長できるといいなっと思っています。どうぞ、これに懲りずに、ご訪問くださいませ。
頑張って挿絵を入れていましたが、やっと一区切りつきました。嬉しいです。楽しんでもらえることが私の喜びです。




