春に寄せて
ジッと抑えられていた反動か、次々と春の詩が続きます。でもこれ、自然なのでは? そう独り言ちます。
「夜の世界の誘い」
夜の世界は語り掛ける
「ほら、遊びに行こう」って
心も体も
頭も手も足も
みんな別々になって、広がって
野を越え、山を越え
海も宇宙も越え
時間さえも越えて
そこは
煌めく「力」と
静かな暗黙と
清浄な空気と
色も、音もない世界
心がこの世界の支配者さ
夜の世界はきれいだよ
色はないけど解るんだ
遊園地があるよ
シュークリームもあるよ
パンノキさえもあるんだ
夜の世界は広いよ、深いよ、楽しいよ
のんびりと自由なんだし・・・
けど
彼女はいないかも
君一人だけなんだよ、呼んでくるかい?
ロウソクノキもあるよ
おもしろいんだよ
夜の世界
「待っていた春」
太陽は東から昇るよ
決して西からは昇らない
だから今日も東から・・・
蛍光灯は暗闇を吸収しているんではないよ
時間は逆行するか?しないよね
今日の太平洋に沈んだ船はいない
遠くの山の青の色相は?
いくら恥ずかしくて
やることがないって言ったって
畳をむしっちゃいけないよね
春は猫や犬の毛を毟るけど
人間は何かに狂うけど
夫婦喧嘩は外ですること
石ころも、棒切れも
ふんだんに用具が整ってる
見物料も取れるかも
魚は水中で呼吸しているし
春になると活発に泳ぎだす
だから今はもう春さ
冬は姿を消したと思っていいよ
まだ枯葉の裏には残っているかも
けど、もう春さ
「心の日」
薄暗がりの中
静寂な空気が横たわっている
時の心の中を震わす鐘
五時
寂とした中ににわかに声が飛び交う
時流を流れ
空間を動き
鋭角の断線の境に群れなし囀る
時は彼らに
彼らの声に闇を吸収させる
夜の世界は姿を現し
音なき声に肉体は宿り
飛散した意識は集合する
かくて昼の世界の誕生
窓の外の雑音が加わる
遠慮深くまず肉体の重い呻き
港を出る船の音
豆腐屋の切ない訴え
牛乳瓶の湿った音
表象の世界は成る
やがて耐え難い雑音となりつつも
快い葉の擦れる音に似た
本のページをめくる音
時流の中、遥か流れる
ほのかな面影が・・・
薄暗がりの中
心の日・・・
忙しさに紛れて、とうとう一回ぬかしになりました。何とか更新できました。頑張んないと・・・




