獣の詩人
軋むドアも眠れる時
昇る再びの三日月
裏切りの詩人が目覚めだす
語る言葉を持たずとも
借りることはできるだろう
「見つかった 永遠が」
こんなことも恐れやしない
月の前の俺はただの獣さ
時の狩人は今 獲物に感づいた
逃げる獣はイデアの海へ向かう
さあ 借り物の言葉で語ろうぜ
足音が脈打つ波止場
過去がリフレインする傍
裏切りの詩人が歌いだす
「俺を獣と見抜く月よ
それでもお前を語りたい」
海と溶けた 永遠を
見失ってしまわぬうちに
月の前の俺はただの獣さ
時の狩人は今 獲物に感づいた
逃げる獣はイデアの海へ向かう
さあ 借り物の言葉で語ろうぜ
裏切りの詩人が海に飛び込んだ
海の中の俺はただの獣さ
潮流は矢となり 俺を貫いた
耐える獣は身も言葉も奪われ
ああ 残ったのは心だけ
月の前の俺はずっと獣さ
時の狩人は今 獲物を追いだした
逃げる獣はイデアの海を漕ぎだす
さあ 獣の心で語ろうぜ