月魔石(ルナンマギア)伯爵夫妻の煌く宝石の日
このいちゃラブ夫妻が大好きです。
「そうだわ、ラズ! 街へ宝石を買いに行きましょう?」
翠玉の瞳を輝かせ、弧を描く白銀の長髪を煌かせた、フィオナの一言。
その楽しげな一言で、今日の月魔石伯爵夫妻の一日は決まった。
貴族とは思えないほど、気ままに街を探索し、辿り着いた装飾品を飾る店で。
「見て、フィオナ。君の瞳と同じ、翠玉の首飾りだ」
「まぁ! こっちは、ラズの瞳と同じ、水石の首飾りよ!」
そう言って、互いの瞳を思わす宝石をかざし、二人は微笑み合う。
「どちらも買おうか」
「えぇ! どちらも素敵だもの」
手を絡ませ、吐息さえ重なるような、甘く愛おしい言の葉の交歓。
すぐにお金を払った二人の手には、それぞれ自らと同じ瞳色に煌く、宝石の首飾り。
「――僕の色を、飾ってもいいかい? 奥さん」
「もちろんよ、旦那さま。そのかわり――わたしの色を、あなたに飾らせてくださいな?」
「あぁ――喜んで」
イタズラを交わすような、微笑みの中。
互いの色を魅せる宝石が、互いの首元に飾られた。
「綺麗だよ、フィオナ」
「ラズも、綺麗よ」
そうして交わった唇に、今日も満ちる温かな愛。
月魔石の水と翠は、今日もまた、宝石箱を煌かせて、甘く愛しく微笑んだ――。




