東月忌譚 一話
[6 東月忌譚]
それは回路だった。
幾重にも張り巡らされた繋ぎだった。
その回路は街の隅々まで行き渡り、一つの機材として成り立たせていた。
それと同時に群としても。
(テリトリー確定。
基準をBからLに移行)
飛ばし過ぎな感じつつも、ナイルは相手が相手だと思い直す。
手加減が出来る程と、自惚れて等いなかった。
(自惚れね。
まぁ、そんなもの初めから持ち合せていないけど)
自嘲しながらも作業を滞りなく行い、完成へと近づけていく。
基盤。
それがナイルと呼ばれた人間が担うべき装置。
それらを媒介に次々に組み立てられていく一個の舞台装置。
ナイルの指を伝う壁に微かに線が奔っていた。
それは初めからあった模様ではない。
その証拠に模様は生き物みたいにうねりを見せ、変化していた。
線は街中を覆い、街を一体化させていく。
それは血管のようにも見えた。
(掌握率99.78。
二、一、掌握完了)
血管は街の切れ目まで伸び、そして全体に張り巡らされた。
「フラガ、そっちは?」
「顕現化された地点で、いつでも臨戦態勢だ。
いつでも開戦可能だ」
フラガの頼もしい回答に頷き、ナイルは迫る気配を慎重に測る。
(残り二十三秒。
さて、失敗は許されない。
この場で沈める)
簡単に放棄してしまいそうな想いを取り止め、ワザと責任を被る。
この言葉を執拗に使う自分が滑稽に想える半面、大分好ましいものに成りつつあるなと苦笑した。
(たっく、ゲラートにはこの素晴しさがわからないのかしらね)
この場にいない無愛想極まりない知人にいちゃもんを付けつつ、押し迫る災害に構える。
そこには気負いはない。
只、遣っ付け作業を行うように淡々としている。
(これだけに圧迫感と賭けなのに、ちっとも高揚感がないのよね。
改善されるまで、程遠のかしら)
カウントダウンが一桁に入ったというのに、ナイルは緊張感の欠片もない思考を巡らしていた。
緊張とは無縁で、そして何よりすべき事をした人間が持つ、結末を待つだけの状態となっていた。
(手は尽くした。
後は及ぶか及ばないかだけ)
五、四、三、ニ。
「一」
最後は口にし、始まりを告げる。
(侵入者あり、排除を開始する)
脳裡に敷かれたマップに、災害の侵入を認知する。
そして何の変哲もなかった街が変貌を遂げ、牙を持ったものと化した。
進撃をしていた羅刹天は違和感を覚えた。
それはなにものかの胃袋の中に放り込まれたような、ジワジワと押し迫る圧迫感。
無機質なものには醸し出せない、纏わりつくような視線がある気がした。
羅刹天は微かに覚えたその感覚を吐き捨てた。
敵と認めるべき相手は未だ先にいる。
此処に誰かが居ようとも、所詮はこちらの位の足元にも及ばぬ屑だろうと。
その屑と高がと括っていた相手に手傷を負わされた事実を持ちながらも。
羅刹天にとって、あの事実は忌むべき記憶。
何かの間違えだと、視線を逸らし忘却しようとした。
その愚かな考えを、寛大だと勘違いして。
だから、この街の真の姿を見定めることが出来なかった。
ヴリトラがこの街の姿を見たら、驚愕しながら呆然と呟いただろう。
これは奈落だと。
突如だった。
疾走する羅刹天の横手の壁が膨らみ、そして膨張して障壁を突破して何かが襲い掛かってくる。
それに姿は無い。
壁を膨張させたのは熱だった。
反応が遅れた羅刹天はその壁を溶かしつける熱をまともに受ける。
顔面に降り注ぐ高熱は、肉を焼き、憤怒面一面に塗りつけた。
「グガァァァァ!!」
天をも揺るがすような絶叫が響いた。
醜く爛れた顔を覆い、未だ吹き出ている熱にナイルリチを振るう。
熱は破滅され、大気共々に掻き消されてしまう。
気配は無かった。
これだけの熱量を発し攻撃する相手を想定した羅刹天は、その先に居るであろう敵に凶刀を振りかぶった。
だが、その先に敵など存在しなかった。
あるのはあまりの熱を発した為、消し炭となり果てていた立て掛けられたコンロだけだった。
指の隙間からその光景を眺めながら、羅刹天は不明瞭な事態に困惑した。
瞬間とはいえ、このコンロが発した熱は有に八千度はくだらなかった。
とても一般のコンロに発せられる熱量ではない。
そんな呆気に取られているのも束の間、後方より押し迫る轟音がする。
咄嗟に振る返り、反射的にナイルリチで薙ぎ払う。
そこには横一文字された四輪車があった。
運転席には人の影は在らず、横へと流れていく。
羅刹天はその瞬間、忌まわしき記憶が蘇った。
人なる者に出し抜かれた、あの記憶。
それが目の前に真っ二つにされた四輪車とダブった。
それは再現だった。
車は羅刹天に近い位置、羅刹天が反応出来ない刹那の間に爆発した。
そうなるようにセットされた爆弾だった。
「ガァァァ!!!」
爆発に身を晒されながら、羅刹天は自分の過ちに気が付いた。
先にいるヴリトラが欺き、この街に潜伏して待ち受けていたのかと考えた。
だが、実際はコンロや車といった文明の利器が、自分を襲っている。
(あの人間かっ!!)
手口が違う。
創唄が生み出す世界干渉変動は感じられなかった。
それが羅刹天の感知を一もニも遅らせていた。
羅刹天の感覚が神対戦ようにセットされていたのが、この事態を招いていた。
人を侮り、視界から外したことによる事態。
「一度ならず、二度までもっ!」
激昂する羅刹天の声が街を覆う。
それを打ち消すように、街に至るところからナイルの意志を反映した凶器が羅刹天を襲う。
定義の調律者。
その瞳は全てを平等の元に置き、公平に干渉する理想とされる神の視点。
その能力の垣根は有機無機に問わない。
人すらも自分のルールを適応させ、調律してしまう神の能力。
だが、その本体は不完全を装う、人の外装。
彼女の干渉されし物は、最大限にその定義を活用可能となる。
人ならば無意識に抑制している肉体制御を改竄し、肉体崩壊をもし兼ねない限界点まで引き上げることができる。
勿論、その結末は破滅以外に待ち受けていない。
意志までは干渉するに至らないが、脳内に分泌されている化学物質を少しばかり弄り、言葉を投げかければ洗脳することも難しいことではない。
そう、彼女にはこの世に全てを制御する能力を携えて、生まれ堕ちた。
人には重過ぎる能力を持って。
扱い易い相手だった。
完全に頭に血の昇った相手を扇動することなど造作もなかった。
チョッカイをかけたら、それだけ反応してくる。
次々に襲い来る無機物の猛襲。
こちらの思惑通りに、怒り狂った羅刹天は妄執し、猛襲を殲滅していく。
手傷を負わせた相手を見す見す逃す気がない様子。
だから、扇動も簡単にいく。
目的の場所に誘き寄せる為に、その方角から攻撃を加えていく。
突然、蛍光灯が破裂し内部の放電を行う。
それが壊れたように蛇口から噴出している水と重なり、羅刹天の足元へと流れ込んだ。
軽い感電。
だが、それでも募る羅刹天の怒り。
蛇口を破滅させ、半壊している電気機器を吹き飛ばした。
(暴風ね。
一々殲滅していくなんて)
次々に手を講じ、羅刹天の激昂を煽る。
街が一丸となって羅刹天に手傷を負わせていく。
街はナイルの手であり、足であった。
定義の調律者の能力がこの街全体に覆い尽くし、意思の通っていないものは、その全力を持って羅刹天に牙を向く。
ナイルの意志を反映して。
手傷といっても、神たる者にとっては擦り傷というにも及ばない。
あれだけ爛れていた顔も、今では元に修復されており、爆発により割れた額も修繕されていた。
どれだけこの程度の攻撃を加えようとも、この化け物に致命傷を与えることが出来ないのは火を見るより明らか。
喩え、ナパーム弾の嵐に放り込んでも、この神を殺すに至らないだろう。
(だから、あれを使う必要があるのよね)
気乗りはしない。
しかしどれだけ絞ろうとも、これ以外の案は浮かばない。
(このまま上手く扇動出来れば、勝率八十を実現させられる)
だが、ナイルは内心で上手く行かないと判断していた。
別に深い理由がある訳でない。
自身があまり信じていない直感というものが、この扇動の失敗を告げていた。
気配を同化させ、敵に居場所を突き止められないようにしてはいる。
そして自分を見失っている羅刹天はゆっくりとだが、確実に目的の場所に向かっている。
そして決め手も用意している。
それでも他人事みたいに失敗するんだろうなと、想っていた。
(もし、この直感ってものが当たるなら)
その直感が現実のものとなる。
突然、羅刹天が止まり、ナイルリチで周りを一蹴した。
一瞬、街と羅刹天の間に無の空間が生まれた。
羅刹天は凶悪な笑みを浮かべ、ナイルが隠れてる方角に進行方向を定めた。
(学んだみたいね、生き物ってものを)
強大なプレッシャーが雪崩れこんで来る中、呆然とそんなことを考えていた。
羅刹天の急な方向転換に、ある地点から気配が生まれる。
だが、それを無視し、羅刹天はこちらへ向かって蹂躙を始める。
(…どうしようかしら)
扇動は出来ても、押し返して目的地点に踏み込ます自信は無い。
もし、扇動を続ける餌があるとすれば、自分自身。
進行速度から計算して、後何秒で到達するかを算出する。
(駄目だわ。
絶望的に時間が足りない)
冷静に分析し終わり、チェックメイトだと客観的に自分に告げた。
(足掻くだけ無駄なんだけど、…癪よね)
癪という言葉に、ナイルは不思議とニヤついてくる衝動を抑えれないでいた。
そうか、今自分は癪なのだと。
この絶望的で絶対的な状況が気に食わないのだと。
受け入れ難いのだと。
(人間っぽいじゃない、これ。
最後に最後に、こんな面白い事態に陥るなんて、神様ってやつは罪造りになっているわね)
癪に踊らされて、ナイルの足は目的地点目指して疾走していた。
目的地は羅刹天を挟んだ反対位置にあり、現在進行形で自ら敵へと接近していた。
(もしかして、私は何処かで期待しているのかしら?)
壁に手を伝わせながら、疾走する。
街と接触点を持つことで、ナイルの羅刹天に対する攻撃は収まっていなかった。
次々に事象を起こし、目的地から遠ざかろうとするのを阻止しようと操っていく。
後数メートルの地点で、羅刹天が空を舞った。
ナイルは自分が捉えられた事を自覚した。
そして立ち塞がるように羅刹天が降ってきた。
「見つけたぞ、人間っ!!」
「あら、随分と汚れて、どうしたのかしら?」
白々しくとぼけてみせる。
今更一つぐらい気に触ることを増やしたところで、結末が変わるのでもないので、ナイルは開き直り挑発した。
それに対し、羅刹天は豪く気分を害したらしく、憤怒面を更に歪めた。
圧倒的な死を目の前にしながら、ナイルの余裕が解せないのだ。
「諦めた輩か」
「…そうかもしれない。
計算を外された以上、抵抗するだけ無駄ってことを悟ってるからかしら。
運命が眼前でも、動じるだけのものが持てないのも事実だわ。
でも、心残りがあるのも確かだわ」
「貴様みたいな壊れた輩でも、心残りがあるとは」
此処まで手こずらせ、そして死すらも眼中にしていない者が心残りと言った。
それに羅刹天は興味をそそられた。
「貴方がどうして私を捉える事が出来たか?
それだけが不明瞭なのよね」
「ふっ、最後に何を聞くかと想えば、そんな詰らぬ事が心残りとは」
「これでも細心の注意をしたもの。
それがアッサリと看破された。
喩え神が相手でも見つからない自信があったのよね」
それは本当だった。
実験段階では成功したのだ。
バミューダトライアングルの磁場を使い、気配を完全に歪めた。
違和感が起こらないようにも加減を加えながら。
「しなかったのだ。
貴様だけが血の匂いがな」
それを聞いて、ナイルは素直に納得した。
汚れるのを嫌い、血の池を避けた。
それがこの街に染み付いた血の匂いに欠如を与えた。
唯一匂いのさせないものとして。
「納得したわ。
意外に優しいのね、回答をくれるなんて。
それとも余計なものが無ければ、私が他の人間みたいに貴方に脅えに浸るとでも考えたのかしら?」
「これだけの屈辱を与えられたのだ。
少しばかりの余興だ。
だが、それも徒労か。
貴様は肉片一つすら残らぬように消し去ってくれよう」
いつの間にか振り上げられたナイルリチ。
振り上げる動作すら視認出来なかったナイルに、これを躱す術はない。
約束通り、肉片すら残さぬように何度もこの刃が自分の立っている空間に振り下ろされるのだろう。
「好奇心は猫を殺すってことわざ知らないかしら?
まぁ、貴方が存在した時代には無かったわね」
ナイルは最後まで不敵だった。
そして神速の一撃がナイルを断ちにいく。
ギィィィィーーーーーン!!
ナイルは言った。
その盾は自他共に認める最強だと。
そしてそれを証明するように、その盾は消滅を促す刃を正面から受け止めた。
「時間稼ぎは十分だったみたいね、フラガ」
「冗談っ!
紙一重だったわっ!」
羅刹天とナイルの間に跳び込んで来たフラガは、その一撃を完全に受け止めていた。
「莫迦なっ!」
渾身の一撃を、何よりも触れたものを例外なく破滅させる刃。
それを受け止めた盾に、羅刹天は驚嘆の声をあげていた。
「ウッ、ラァァァァ!!」
咆哮と共にフラガは羅刹天の刃を押し返した。
瞬間力負けした羅刹天は後退を余儀なくされた。
「折角スタンバイして貰ったのに、無駄だったわね」
「…全くだ」
空気を読まないで、日常会話をするようにナイルとフラガは互いに苦笑した。
フラガは目的地にて待機していた。
扇動の最後の道具として。
頃合になったら、気配を発して、羅刹天を目的地内に誘き寄せる為にスタンバイしていた。
だが、ナイルが見つかってしまい、気配を発し意識をこちらに向けようとしたのだが、それが返って羅刹天の動物的嗅覚と直感を確信に換えてしまったのかもしれない。
「フラガ!」
「心得たっ!」
以心伝心。
そして命令を実行すべく、フラガは羅刹天に猛烈なる攻撃を仕掛ける。
利き腕に装着した大盾を正面に構え、なんの策もなく突撃をしていく。
「笑止っ!」
羅刹天が振り下ろす大剣。
それを又も空色の盾が、フラガとの間で塞き止めた。
まぐれではなく、完全にナイルリチの効力を押さえ込み、最強と歌われた盾が破滅を遮断した。
そして押し相撲の如く、又も羅刹天を押し返した。
その抵抗に気を害した羅刹天は、これまでとは比較にならない速力での斬撃を繰り出してくる。
(速い。
間違いなくフラガの能力を凌駕しているわ。
…でも)
ナイルはそれを横目で見ながら、予想以上ではないと能力を計りきった。
それに応えるように、フラガは尽くその繰り出される斬撃をシャットアウトしていく。
恰も、その斬撃の出所を初めから知っているように、盾が先にカバーに入っていた。
「小賢しいっ!」
手数が五十を超える頃には、その異様さに羅刹天も気が付いた。
自分の動きが完全に読まれていることに。
フェイントを織り交ぜて、交戦してみたらその異様さが浮き彫りになってきた。
本撃だけに盾は反応し、先回りしていた。
どれ程巧妙なフェイントをしようとも、攻撃的な気配を込めようとも、虚撃にはまるで反応しない。
どれが本当の攻撃で虚実なのかを、フラガは知っていた。
その種は、蒼く輝く瞳にあった。
浄眼。
聖なる属性を有する、力を持った眼。
特殊な能力を秘めた瞳は、様々な現象を引き起こしたり、見るものに影響を与えたりする。
教会が有する浄眼の使い手では、幻覚などを見抜き、それに邪悪なる力が作用していたならば浄化するという力を持った者がいた。
フラガ ノエルが有する浄眼、それは現在確定視。
北欧伝承に登場する現在を司る女神ノルン。
その恩恵を受けし瞳は、現在に起こりうる確定事項を把握する。
未来視と違い、不確定ではなく確実に訪れるものだけを読み取る。
問題はその瞳が確定される0,5秒前までしか、読み取ることが出来ないことだろう。
無数に広がる未来が定まるには、それほど刹那的だった。
それでも刹那の勝負をしているフラガ達の戦いでは、有益な情報となる。
故にどれ程虚実を含んでも、フラガは惑わされることなく、本物だけを引き当てることが出来た。
能力で劣っていようとも、この0,5秒の短縮がフラガに攻防を可能とさせていた。
だが、それだけとも言えた。
(攻められれぬかっ!)
短縮した時間を持ってしても、フラガには攻め込むだけの隙を見出すことが出来ないでいた。
フラガに羅刹天を葬るだけの力はない。
結局、目的地に仕掛けたものに頼らなければならない。
その為に攻め、その場所まで押し切る必要があるのだが、防禦だけで手がいっぱいで、攻めまで廻れないでいた。
それ程までに遺憾ともしがたい能力差が、二人の間にあった。
ナイルの眼からは、二人の攻防は残像にしか映っていない。
手を貸したいのは山々だが、迂闊なことをすれば拮抗すら崩し、最悪の事態を招きかねない。
それがわかっているからこそ、このジリ貧を見守るしか方法がなかった。
その先に確実な敗北があろうとも。
この拮抗で消費が激しいのは、責められているフラガの方だからだ。
何れは途切れ、破滅の刃を身に受けてしまうだろう。
歯痒い。
これまでこんな場面に出くわしたことのないナイルは、この傍観するしかない立場に苛立ちを覚えた。
それは些細で、本人すら自覚するものではなかったが、確実に焦りが芽生えようとしていた。
その時、ナイルの頬を風がそよいだ。
月明かりのような淡い燐光を放つ髪が流れ、羅刹天の上空に輝いた。
気配は無かった。
それもその筈、ナイルが渡したバミューダトライアングルの磁場を帯びた者に、気配などはない。
歪められ、誰もが感覚を狂わす。
その磁場を纏った者が、上空で杖を旋回させ、羅刹天に振り被った。
羅刹天は咄嗟に反応した。
何度も気配無き攻撃を受けていたお蔭で、皮肉にもその攻撃に反応が間に合った。
ギィィィィ!!
金属のぶつかり合う音が木霊し、羅刹天はその勢いに推され後退した。
着地を決め、杖を一回転させてから、攻撃を加えた者は宣告した。
「片腕の恨み返しに来たぞ、羅刹天」
そう宣言するは、羅刹天をこの街に誘き寄せる為に去った筈のヴリトラだった。




