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過去を告げる


…倉多にしか頼めないんだ


「…………私じゃなくても他にいる。」


「…え?」


「… っ」


私はボソッと呟くと教室を飛び出した。


後ろから、橋くんの声が微かに聞こえた気がしたけど私は振り向かなかった。


「結局…屋上来ちゃったなぁ…何か雰囲気悪くして教室出ちゃったな…。」


屋上でフェンスに寄り掛かり少しばかり教室を気にする。


「でも橋くん…"私''にしか頼めないとかは言わないでよ…。」


そう呟くと、目を閉じて記憶を再生する。


小学生の時…


私の周りには友達がたくさん居た。


何時も小学校から帰っても友達と遊んでた、


でも突然みんな私から離れてった。


「茉生ちゃんって、調子乗りすぎ。」



…違う


「消えろよ、何も出来ない癖に。」


…そんなんじゃ無い


「頼りない奴。」


…イヤ、みんな虐めないでよ…!


「…多…多…倉多!」


「…へ?」


肩を揺らされて我に返った私の目の前には…


「橋くん…どうして…」


「…さっきいきなり倉多教室飛び出すから捜してたんだ。」


「い、いや…気にしな「さっきは俺のせいでごめん!」」


いきなり橋くんは頭を下げ謝ってきた。


「だ、大丈夫だよ…?それに、橋くん悪く無いし…。」


「俺が悪いんだ!いきなり頼んだりして…本当ごめん!」


ついに橋くんは、土下座をしようとするので私は慌てて止める。


「はぁ…倉多が許してくれて良かったぁ〜」


そう言って橋くんは、笑った。


「許すとかよりも…土下座をしようとするのは驚いたよ。」


土下座をさせてしまっては、ずっと罪悪感が残るからね。


「でもさ、何であんなに思い詰めた表情してたの?」


いきなりの質問に私は動揺してしまう。


「…あのね、私小学生の時たくさん友達が居たんだぁ」


「…うん。」


「それでね、毎日学校から帰ってからもみんなで遊んでた。」


橋くんは、静かに私の話を聞いてくれている。


「でもね、突然みんな離れてったんだ。」


「…え?」


「みんな私の事嫌いになっちゃって…ひっ…とりになっ…て…それっ…から…」


「…倉多…。」


「わ、…たしっ…何泣いてっ…ごめんっ…ね。」


私は、泣きながら橋くんに笑って見せる。


すると、突然抱きしめられる。


「…っえ?」


「倉多…泣くなよ、倉多は悪くない、もう思い出して悲しんだりするなよっ…」


抱き締められる力が強くなる。


「俺さ、マネージャーの事も軽い気持ちで倉多に頼んだつもりは無いよ…?倉多が良いから倉多に頼んだんだ、倉多が思ってる程軽々しく頼んでは無いから。」



そう言って私から離れた橋くんは、私の目の前に立ち笑いかけてくれた。


「じゃあ俺、そろそろ行くよ。」


「ま…待って!」


屋上から出ようとした橋くんを呼び止める。


「水泳部の件…少し考えておくから…。」


そう言った瞬間、橋くんはとても嬉しそうに「おう!」っと言って屋上から出て行った。


そうして私はまた呟く


「橋くんありがとう。もう、過去とはお別れできそうだよ…。」


この時、今まで囚われていたものから解放されたように感じた。



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