りーちゃん&なっちー
今日もここから見る景色は同じだな、そんなことを思いながらただただ教室で席に座って昨日描きかけていたらくがきの続きを描いてみる。
倉多茉生。福鐘高校2年、見た目は地味で平凡な学校生活を望んでいます。
兄と弟が居り、真ん中がこの私だ。
兄の名前は拓未。弟は瑠唯。
兄も弟も兄弟自慢じゃないが、顔が整っている方だと思う。
現に弟なんてよく、世に言う「ラブレター」を持ち帰ってくる。
そして、自慢。自慢。
おい、私がいくらブサガールだからって馬鹿にするな。弟よ。
そんなことを内心思っているが、口には出すことはなかった。
いや、今後も無いことだろう。
そんなことを、脳内で考えていたところに授業の終わりを告げる音が耳に入ってきた。
ノートと持参してきた弁当を通学鞄にしまいこみ、足早に教室を後にした。
向かうは部活、美術室。
学校での、一番の楽しいひと時を過ごせるのは部活だ。
そして、目的地に着いた私は勢いよくドアを開ける。
「お、来たね。てかそんな勢いつけてドア毎日開けてたらいつかドア壊れちゃうよ。」
そう言って微笑したのは親友で私が同級生で唯一仲のいい友達、高石莉緒だ。
莉緒は同じ美術部所属であり、高校に入学してから初めてできた友達である。
あだ名は、莉緒ことりーちゃんだ。
「りーちゃん、私はそこまで怪力では無いと思います。」
「例えばの話だよ、まったく。」
「そうだねー。」
そんな会話をしながら二人で笑ってると、またドアの開く音がした。
「こんにちはー!ってあれ?二人で何してたんすかー?」
「「なっちーうっさい空気読め」」
「えー!?ひどいっすよ・・・」
そう言って泣きまねをしているこいつ、なっちーこと奈多陸玖。
私たちの後輩で、かなりウザキャラなのでひどい扱いをされているがなっちーいわく、「みんなが俺を信頼してくれているから平気っすっ」何だとか。
いや、ふつう信頼した相手にひどい扱いするか、どれだけポジティブなんだ。
まぁ、なっちーの為にもそんなことなど言わないが。
「ところで、今日はなかなかみんな集まんないね」
「みんな、忙しいんじゃない?唯一暇人だったのが、なっちーだったんだよきっと」
「なんで、なっちーなんだ・・・」
「「はぁ・・・」」
そんな感じで、またなっちーをひどい扱いをして楽しむのが最近の楽しみとなっているのも嘘ではない。
「茉生先輩も、莉緒先輩も俺じゃない方が嬉しいんすね・・・」
あ、ヤバいなんかいつもよりなっちー落ち込んでる。
私とりーちゃんは顔を見合わせなっちーに視線を向ける。
「「プフッ」」
「あ、今俺の顔見て笑ったすねー!?」
「ごめん、ごめん。あまりになっちーの落ち込みようがーね?りーちゃん」
「そそっ」
「もー二人ともひどいっす!」
なっちーはまた、頬を膨らまして怒る。
それを見て私もりーちゃんも笑う。