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8ページ目

少女をオヤジっぽい目線で見てたから、事実を述べても言い訳に聞こえそうだ。そのことが俺の焦りを増長していく。

どうする、どうする俺!? どうすんだよ! 次の瞬間にはほら、平手打ちがとんできて、

「……オウムがいない」

「……へ?」

少女は俺ではなく自分の頬をぺちぺちと叩き、服についた砂を取り払いながら立ち上がった。そして、俺に構うことなく、辺りをきょろきょろ見回し始めた。

(オウム? なんだそれ、鳥か? あの夜鳥か?)

俺は少女の行動を不思議に思いながらも、もしかしたら、この人変態ですと助けを求める相手を探してるんじゃないかと内心焦っていた。が、すぐにそんな心配は吹き飛んだ。

少女の立ち上がった姿を見て、俺はそれに気づいてしまった。

青い炎。

少女の右手。

その手には青い炎を纏った大剣があった。

少女の細腕では到底振り回せるとは思えない代物。

俺は、少女が大剣を持つその姿に思わず息を呑んだ。

のどがごくんと鳴り、見開いた両目は少女の異様な雰囲気にただ圧倒されている。

金髪の少女の、青く澄んだ瞳は校舎を視界にとらえていた。

俺もつられて校舎を見る。

が、これといって変哲はないようだが。ん? もっと上か?

もう一度少女の見据える先を正確に追う。

(屋上……か?)

にわかに普段使わない脳内細胞がフル稼働し始め、一つの推測をたてる。

それは、もしかしてこの少女は屋上から落ちてきたんじゃないかということ。

……いやいやそんなまさかな。馬鹿か俺は。自分でたてて即座に否定する。

子供には無限の可能性が秘められているのです、と大人は声高に説くけれど学校の屋上から落ちて助かる可能性はさすがにない。万が一、仮に一命を取り留めたとしても病院行きは確実だろう。少女はぴんぴんしてるから妄想の領域に入る俺の推測は却下だ。

あ、でも気になることがある。なんでさわれないんだろ? ということだ。いや、さわりたいとかは別としてだ。

突如、数メートル先で雷でも落ちたかのようなものすごい轟音が響き渡り、何の前触れもない突然の音は俺の目を強制的にそちらへと向けさせた。

「何だ? 何だ?」

土煙が舞い上がって中の様子が見えない。いったい何が起きたんだ?


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