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6ページ目

青い空だ。すがすがしい。

……なんかいい香りがする。

桃のような甘い香り。

寒さで凍えていたことも忘れ、意識が次第に遠くなっていく……

このまま眠ってしまいたい……って、何だこれっ!?

少し目線を下げ、自分の身体に目をやった。

「はぁっ!?」

俺は驚愕した。

身体の上にまるでフランス人形のような女の子が、覆いかぶさるようにして倒れていたからだ。

透き通った白い肌、服の上からでも分かる甘いでっぱり、腰まで伸びるつややかな金色の長い髪、金色の眉。そして、見るだけで吸い込まれそうになる端正な顔立ち。

全てが俺を呼んでいる気がしてならない。

文句もつけられないほど犯罪級にかわいい少女が目の前にいる。

何をせずとも男だったら誰しもうろたえてしまう状況だ。

冷静になれという脳からの命令むなしく気分は高まっていく。

(こ、これはもしかして神様が俺に与えてくれたご褒美か!? 日ごろの行いが良すぎたということか? 確かに昨日も道端に落ちていたタバコの吸殻を5本も拾ってごみ箱に捨てたが……でもそれぐらいで……はっ、もしかして俺が拾わなければ火は家屋に燃え移り、たくさんの犠牲者がでてたという……それで神様はよくやったということでこれを俺に!?)

あまりのかわいさに都合のいい理解が脳の制止を振り切って、進む、進む。

(俺が望んだから……か? 深層心理が生み出した理想の女性像を、神様が具現化してくれたのか? だったら、すごく従順で何でも言うことを聞いてくれるはず!)

なぜか変にボルテージが上がって、上がって、上がりきる寸前だ。

「えっ?」

理性が限界点を突破する前にそのことに気づいてしまった。

「足が……手が……透けてる!?」

いや、正確には目に見える分には透けてないが、触れるはずの部分にだけ触れないということだ。

冷静になってみると少女に触れている感覚はない。

肩をゆすろうとしても空気をつかむだけで、目の前の事象は何の変化も起こらない。

「えっ、えっ、えっ!?」

さらには、少女の左手が俺の脇腹を通過して、地面とのセッションを楽しんでいる。

「ふれられない!?」

ありえない現象が目の前で起きている。

目の錯覚か? いきなりのことに気が動転してそう見えているのか?


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