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ろう。腹の具合でも悪いのか。
「あまりおかずが減ってないけど、どこか気分悪いのか? 鈴木の顔が原因ならこいつだけ別の席に飛ばすけど? あぁーでも満席だから無理か。じゃあ、鈴木だけ教室にしよう、な?」
「まだヒカリちゃんは何も言ってないぞ!」
鈴木は一人吠えてるが、原因がもしそうならば、発言なんて無視して強制移転もやむを得まい。
「そう……じゃなくて、えっとね……こーちゃんは……」
「俺が、なに?」
ヒカリの顔に不安めいたものが見える。まじでどうしたんだろう? まさか逆に俺が強制移転になったりするのか? いや、それだけは避けたい。
「こ、こーちゃんには彼女とかいるの?」
ヒカリは俺から視線を反らし、もじもじと手をこすり合わせた。
……何だそんなことかよ。いきなり「来るっ!」とか言ってオウムの出現を感知したり、「こーちゃんはこの気配に気づかないの?」なんてことを言うのかなと深読みしていたが違うらしい。
漫画の見すぎだなこれは。
「あぁーっといない、けど」
作ろうとしなかっただけだけど、なんて。
「そうなんだ。へぇー、やっぱそうだよね」
ヒカリは安心したようにほっと息をついた。
「そういえば康介は中学時代は女子に評判は悪くなくて、告白も何回かされてるんだ。でも、OKは一度も出さなかったことから『撃墜の堕天使てんてん君』っていうあだ名で一時期呼ばれてたよな」
英人は俺にだよな?という視線を送ってくる。
「もうその名で呼ぶのはやめてくれ。ダサいから」
色々混ぜすぎて元の意味が分かんなくなった感じだ。もっとましなあだ名はなかったのだろうか。
「えー、ちょっとその話聞きたい……かも。何で断ったりしたの? 告白してくるぐらいだから、その人はかわいかったんでしょ?」
とんでもないことを言い出した。確かに器量は悪くなかったと思うが、いやそれは一旦置いといて、ヒカリがそこを追求してくるとは思わなかった。心が動揺して上手い回避の仕方が思いつかず、微妙にお茶を濁す形になる。
「まぁ、その何だ? 付き合うっていう柄でもないし、彼女が欲しいってわけじゃなかったし……心の中の人はいたけど……ってか俺はめられてる!?」
図らずも、英人とヒカリの誘導尋問に乗せられた気がする。
「いや、違うんだ。別に深い意味はなくて……」
「いや、俺には分かるぞ。お前の言いたいことが」
うんうんと腕を組んで納得している鈴木。まさか。もしかするともしかしたり。




