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少女に妙な笑いはなく、嘘をついているような素振りはない。
「どういうことだ?」
「人間の体内には正の感情と負の感情が常に存在していて、普通は負の感情が新しく生まれても、初めから内在する正の感情と相殺されることによって上手く調律が保たれているの。それが永遠に保たれる続けるには越したことはないんだけど、なかなかそうはいかない。自身にとって耐え切れないほどつらいこと、不幸なことがあって、負の感情が一時的に正の感情の許容範囲を超えた場合」
飾らない少女の淡々とした言葉が、右から左に通り抜けてゆく。
「……よく分かんなかったが、それであんな化け……オウム?が現れたって言うのか?」
「半分正解。半分不正解なのは、それが最終段階だから。実体を持ち、この世界に出現するまでいくつかのステップがあるの。本体という寄りどころを失った不安定な感情分子はこの基本空間では長く存在できない。数秒もすれば消えてしまうほど微弱なものなの。そこで消えないように感情分子は本能的に別の場所へ転移する。そして近くにある別の感情分子と押し合いへしあいより固まって集合体を形成する。それが、オウムなの」
矢継ぎ早に言われ、正確に理解しきれない。内容も内容で現実を超越している。
「で、さっき現れたってわけか?」
分からないなりに理解しようと努める。が、
「それは違うわ。厳密に言うと、まだ現れてない。壁を破って基本空間に来る前に、発生した段階で止めるのが私たち討魔師の役目だから」
余計に意味が分からない。頭の中がこんがらがる。〝とうまし〟って何だよ?
「ちょっと待ってくれ。一つ質問するが、基本空間ってどこだ?それに来るっていう意味がよく分からないんだけど」
「今、こーちゃ……げほっげほっ……こほん。あなたがいる世界は基本空間上。今私がいる世界は異次元空間上なの」
「はぁ!?」
ここまでくると半信半疑は疑の方へ傾き始める。矛盾をどうこうというのを超えた少女の話に俺は聞く姿勢を一転して、反論に出る。
「作り話にしちゃよく出来てたが、最後の詰めが甘いな。感情分子とかオウムとかまでの話はなかなかそれっぽくて、しかも真顔で言うから本当に信じそうになった。でも、異次元の空間って言うのは飛躍しすぎてよくないな。そんなのがもし現実にあったら、今ごろ世界は大変なことになってる」
恐怖から解放されたからだろうが、俺はさっきと違い、妙な自信を取り戻していた。
「何、それはつまり私が嘘を言ってるって言いたいの?」
「まぁ、そういうことだ」
何も根拠がなくて強がっているわけじゃない。
あんなものを見て信じやすくなってたせいか確かに途中までは信じていた。でもな、最後のは明らかに




