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かりとかそんなのは理由に入らない。確かに怖い。超怖い。だが、今は今。後々のことは後々の俺に任せるとする。今の俺が後々の俺を後悔させないように。上手く体に伝達しなくても、やるだけのことはやってやるさ!
「うおぉぉぉおおおーーー!」
まずは少女の元に向かおうと、後ろに踏み出そうとしたその時、
「えっ!?」
振り向きざまに足がもつれ、そのまま尻もちをついてしまった。
(こんなときにーーーーー!)
馬鹿か! 不覚すぎる! 最悪だ!
立ち直そうとしても膝がガクガク震えて立てない。何してんだ俺。
「くっ、何か武器になるものは!?」
すがるような思いで周りを見渡すが、木の棒さえ落ちていない。あるのは焦りと恐怖と絶望だけ。地面を後ずさりする手には冷たい土の感触がした。
物体は再び聞くに堪えない大きな唸り声をあげた。大気がびりびりと振動して、その震えは俺の心に絶望という言葉の意味を身をもって分からせてくれた。諦めと自棄。動き出した物体。
(死んじゃうのか俺? まだ高校生活も始まってないのに?)
「あぁ……」
断末魔の悲鳴こそあげやしなかったが、俺はただ短く声を漏らした。
サヨナラ俺がいた地球、来世も人間に生まれたいです。
ガガガガガガガガガがガガガガガッ。
物体に削り取られた土の煙が空中に舞い上がった。
「……れっ?」
不思議なことが起こった。イリュージョンでも見ているような気分。何も、感じない。
砂塵が体にかからない。ぶつかるはずのものまでも俺の体をすり抜けるようにして、いや文字通り砂も物体もすり抜けたのだ。いったいどういうことだと思いつつも、恐怖から解放されたことで肩の力が抜ける。しかし、すぐにまた全身に力が入る。
この先。
物体が向かった先は。
「えっ」
振り向けば、あの少女が大木の少し手前で立ち上がっていた。それも、体勢を低くし剣を構えた状態で。少女の青い瞳は涼やかでどこか物憂げで、けれど強い意思がその目に宿っていた。
青い炎が一段と激しく燃え上がる。
「はああああ!」
突撃してくる物体めがけて、少女は剣を横に薙いだ。けれど当たる寸前で物体にかわされた。




