第2話 アイドルグループU-4のメンバー
「おはようございます!」
スタジオの練習室のドアが開き、僕は振り返って大きな声で挨拶をする。
「ウィーッス…」
気だるそうに一番最初に入ってきたのは、赤髪のアダムだ。
メンバーの中では、一番背が高くガタイがいい。顔は整っている中に、ヤンチャな雰囲気も持ち合わせている。そして、寡黙であまり話さないキャラだが、逆にそれが男らしくてキュンキュンすると、女性人気が高い。
「おはようございまーす」
次に入ってきたのは、礼儀正しく練習室に入り、全員の顔を見渡しながら頭を下げる、金髪のリュウ。
メンバーの中ではムードメーカーで、かつ頭の回転が早く、グループの盛り上げ役だ。整った顔で、しかも笑った顔が犬みたいで可愛いと、女性達の母性本能をくすぐっている。
「なんや、俺が一番かと思ったのになー。はよーございまーす」
3番目に入ってきたのは、茶髪のナオト。リュウとナオトは関西っぽい話し方をするが、ナオトに関しては標準語も話すし、よく掴めない人柄だ。だが4人の中では断トツで顔が整っていて、パーツ1つ1つどれをとっても完璧でそして小顔。女性をメロつかせる天才で、グループのファンになるきっかけを作りやすい男だ。
「ナオトはいつもそう言ってるなあ。皆さんおはようございます、今日もよろしくお願いいたします」
被っていたキャップを頭から取り、頭を深く下げて挨拶をするのは、黒髪のユウヤ。このグループにはリーダーはつくっていないが、自然とユウヤがまとめている感がある。穏やかで怒るところを見たことがない、そんな優しい性格のためメンバーからも信頼されている。顔も整っていながらも、クールな雰囲気もあるその顔つきに、沼ると女性に言われている。
「ハルト、お疲れ。今日も朝早くからありがとな」
荷物を壁際においたユウヤが、笑顔で僕に近付いてくる。
「いえいえ、それが僕の仕事ですから!」
「そうか?でも無理するなよ。辛かったら俺にいつでも言って。な?」
「は…はい!」
ユウヤが僕の肩を手で叩く。
「あっ、ハルトー!今日さ、おすすめの飲み物持ってきたんやった、はい、これ」
床に置いたバッグの中をガサゴソと、まさぐっていたナオトが、中から缶を取り出すと僕に向かって放り投げる。
「おわっ、あ、ありがとうございます!これは…なんだ…アイドル味のジュース…?」
「そうそう、面白いだろー?これ飲んで、ハルトも俺らと同じアイドル気分味わってなー」
「あ、ありがとうございます!」
僕がアイドルになりたかったなんて知らないはずなのに、思いもよらない声かけに嬉しくなる。
すると、その様子を見ていたリュウが、コーヒーを飲みながら近付いてくる。
「いやいや、ハルトにはアイドルよりマネージャー業、もっと頑張ってもらわな。今日も着てる服なんやそれ、全身黒のジャージって、もっとオシャレなんなかったんか?」
「え…いや、僕マネージャーなんで、あまり目立たない方がいいかな、と…」
「あかーん。俺らのマネージャーもカッコ良くいて欲しいねん。もう少し、うーん、そうやなあ〜。そうだ、これあげるわ」
リュウは自分の頭につけていたサングラスを取ると、ハルトに渡す。
「え、でもこれ…高いやつ…」
「そうやで。だから、大事にしーや」
「あっ、ありがとうございます…!」
すぐにその場でサングラスをかけるが、皆んな僕の姿を見て、うーん、、と首を傾げる。
「あれ…似合ってないですか…?」
僕は苦笑いをしながらサングラスを頭の上に上げると、床で黙々とストレッチをしていたアダムが立ち上がった。
「…似合ってる。それと、ここの髪の毛はねてる」
アダムのその大きな手が、僕の髪の毛に触れる。意外にもその触り方が優しくて、本人のキャラとのギャップがすごい。
「あ…ありがとうございますっ…!」
なんとなく乙女の気分で恥ずかしくなってしまった僕は、さっとアダムから離れる。
「はい!みなさん!!練習始めますよ!!」
ダンスの振付師の先生が声をあげ、U-4の4人は先生の元に集まっていく。
(やっぱり皆んな優しいなー…)
忙しいにも関わらず、なんだかんだで僕のことを気にかけてくれる4人。
(うん、そうだ!僕はゲームの通り、4人をU-4を数あるアイドルグループの中でトップを取れるくらいに、ちゃんとサポートしていくぞ!)
新曲のダンスを必死に踊る4人を見て、僕は胸に強く誓った。




