第1話 アイドルゲームに転生
「で、結局ハルトは俺らの中の誰を選ぶの?」
ジリジリと近寄ってくる4人のイケメンに、とうとう壁際まで詰められた僕。
「4人の中では、俺といるのが一番居心地がいいって言ってたよな?」
「それだったら、俺にも言ってましたー。俺といると、楽しいとも言われたし」
「いや、ていうかね、そもそもー、俺が一番ハルトのこと理解してると思うんだよね」
「はあ?そんなわけないやろ」
壁際に追い詰められてもう逃げ場がないと思っていたところで、急に俺のことで互いにマウントし出す4人。
(なんで…こうなった……?)
僕は顔を上げ、部屋の窓から外を見つめると、深くため息をつく。
◇◇◇
僕ことハルトは、ゲームをしながら寝落ちして、目が覚めたら好きなゲームの世界に転移していた。
そのゲームとはアイドル育成ゲームで、U-4という男性4人のアイドルグループを人気グループにできたらクリア、という内容だ。
女性が好みそうなゲームを、なぜ男の僕がプレイしていたかというと、実は僕も歌って踊れるアイドルになりたいという夢があったからだ。
でも、現実は厳しくてなかなか思うようにはいかず、あの日も毎度のこと、オーディションの落選通知がきて気持ちが萎えて、現実逃避をしたくてベッドに寝っ転がってこのゲームをし始めた。
目が覚めた瞬間に、あの憧れのアイドル達が目の前にいて、これが噂の異世界転生!と、ゲームの世界に転生したことが分かったときは、めちゃくちゃ興奮した。
と同時に、もしかして僕もアイドル役に…?と思ったら、転生したのはU-4のアイドルグループをサポートする役…いわば、マネージャーみたいな立ち位置の、ハルト、だった。
ハルトは茶髪で童顔で、U-4の4人に従順だったから、ゲームの裏掲示板とかでは忠犬ハチ公とか呼ばれてたほぼモブキャラだ。
転生してもアイドルになれない僕の人生って…、それに、転生したら最高の人生送れるんじゃなかったのか!?僕はどんだけ運がないんだ!?て、ショックで落ち込んだ。けど、まあ方面は違うけどアイドルには少し近くなったし、と前向きに考え直してみた。
あとは、前向きになった理由の1つに、僕ことハルトが落ち込んでいるのを見てU-4のメンバーがすぐに僕のことを心配してくれて、それが、めっちゃ嬉しかったんだ!僕はハルトとして、ゲームの通りきちんとU-4をサポートしなきゃって、気持ちを切り替えたんだ。
そう、ゲームの通りに……彼らアイドル4人が輝けるように、しっかりサポートしなきゃって思った!…んだけど……。
僕は知らなかったんだ。
キラキラでいつも笑顔の彼らにも、裏の顔があるってことを——。




