表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/74

58 再会

 俺が第三王子派に入ってから、数週間が経った。


 ここ最近は、ほぼ毎日王城に通う日々が続いている。ジークディア殿下からの要求である、「日中の護衛」を行っていたからだ。

 リナは他にやる事が色々あったらしく、ほとんどは俺が行っていた。そのせいで、ジークディア殿下には根掘り葉掘り質問をされたが、まあそれは置いておこう。


 そして今日、ミラーノ市からアールとシロがやって来たらしい。





 王城から連絡を受け取った俺は、いつも通りジークディア殿下の護衛として、王城に入った。


 気持ちとしては一番にアールとシロの所に行きたかったが、流石に護衛の仕事をしないとまずいので、一旦日中は護衛の仕事を完遂する事にした。


「良いのですか?」


「何がです?」


「お知り合いが来てるんでしょう?行かなくて大丈夫なんですか?」


 そういう心積もりで来たのに、随分と揺さぶってくれるじゃないか、殿下。


「いえ、大丈夫ですよ。派閥に入る時の条件ですから、それを破る訳にはいきません」


「そうですか……。一応、一日ぐらいなら大丈夫ですけど?」


「殿下……そうやって一日ぐらいなら、と言っていると、次は二日になり、三日になり、最終的にどんどん延びていくんですよ……」


「なるほど……それもそうですね」


 なんか実感あるな、とツッコまれなくてよかった。


 納得したジークディア殿下は、いつも通り俺を連れて色々な所を回る事にした様だ。


 ちなみに、ジークディア殿下の護衛は俺一人である。

 普段は二人の護衛が居るのだが、ジークディア殿下が「上級悪魔を倒せる様なお方なのだから、他の護衛など必要無い!」と言って、普段の護衛には休みを出しているそうだ。一応、日中以外は護衛をさせているらしいが、日中は俺が居るので問題無いそうだ。

 俺は本当にそれでいいのか……?と思ったが、ラムディーノ公爵辺りも頷いていたので、本当に大丈夫らしい。

 殿下の独断でなくて良かった。





 それから数時間して、あっという間に夕方になり、ジークディア殿下の護衛の時間が終了した。


 護衛が終了したと同時に、使用人の一人が俺の所にやって来た。


「陛下がお呼びです。こちらにどうぞ」


「あ、はい」


 どうやら、国王直々にお呼びらしい。

 まあ、タイミングから考えて、用件は一つだろうが。


 使用人さんの後を付いて行くと、やっぱりいつも通りの部屋に連れていかれた。


 使用人はノックをして「お連れしました」とだけ言うと、部屋から離れて行った。

 と同時に「入れ」という声がしたので、俺は部屋の中に入る。


「あれっ、ハリー!?」


 部屋の中には、国王とアール、シロ、メリーの四人が居た。


 部屋に入って来た俺を見て、アールが驚きの声を上げている。

 何故だ……。


「来たか、フェッルム卿。まあ座るがよい」


「はい」


 何故か国王の隣に座る様促されたので、指示通り隣に座った。

 居心地が悪い。


「さてだ……実はな、この三人はもう解放する事になった」


「あれ……メリーはともかく、アールとシロは拘留期間があるって話じゃ?」


 聞いていた話と違う。

 数週間の拘留期間を経て解放する……と聞いた筈だが。


「その筈だったのだが……まあ、捜査が進んで色々と事情が変わったのだ。詳しい事は言えぬがな」


「そ、そうですか」


 まあ、面倒な物が無くなったのなら喜ばしい事だろう。


「それでだ。この二人は、フェッルム卿の家臣としてもらう事になった」


「は……はい?」


 何故そういう話になるんだ。

 ほら、向かいの二人を見てみろ。開いた口が塞がらないって顔してるぞ。


「それが嫌であれば、規定の拘留期間分拘留させてもらう。さあ、どうする?」


 俺がその決定権を委ねられるんですか……?


 何故部屋に入るなり頭の痛くなる様な話をされているんだ、俺は……。


 はぁ……と溜め息を吐いて、向かいの二人を確認する。

 驚いてはいるが、顔的には了承っていう感じだ。


 しょうがない。


「分かりました。家臣にします」


「よかろう。もう少ししたら、フェッルム卿はヘキサゴンに行くのだったな?そこに連れて行くがよい」


「あ、はい」


 何故それを知ってるんだ……?という言葉は飲み込んでおいた。

 国王独自の情報網でもあるのだろう、きっと。


 アールとシロは、ヘキサゴンと聞いて更に驚いている。

 冒険者の中では、ヘキサゴンはそれなりに有名な国なのだろうか。俺は聞いたのはつい最近だと言うのに……。


 話はそれだけだったらしく、国王は残っていた紅茶を飲み干すと、「自由に使ってくれて構わん」という言葉を残して、部屋を退室していった。


 それと同時に、何故かメリーがこちら側のソファーに座ってきた。


「あー……えと、ハリーって貴族だったのか?」


「だった、ていうか最近なったんだけどな。……メリー、何故伝えてない?」


「え?いや、驚かせた方が楽しいかな~、みたいな?あはは」


 あはは、じゃねえよ。


 メリーの発言を聞いて、アールとシロが驚いている。

 何故?


「メリー、随分楽しそうに話すね」


「え?そうかしら?」


「ああ、俺達と一緒にパーティー組んでた時より、よっぽど楽しそうだぞ」


「うーん……そんな事無いと思うのだけれど……」


 ……ああ、二人が驚いている理由が分かった。

 コイツ、ミラーノ市に居た時はずっと敬語だった。居た時、というか、俺やリナ、リーニャに対して以外は、ずっと敬語だ。

 アールとシロに対しても敬語だったから、二人は驚いているのだろう。多分。


「まあ、そんな事はいいさ。ハリー、ヘキサゴンに行くって本当なのか?」


「ん?本当だが?」


「よっしゃー!」


 頷いてみせると、アールがガッツポーズして喜んだ。


「アールはずっと迷宮に行きたかったんだよね……」


 シロが呆れた様子で解説してくれた。

 まあ、迷宮に憧れる気持ちも分かるっちゃ分かる。俺も少しワクワクしているからな。


「あ、そういえば、二人ってもう付き合ってるのかしら?」


 ガッツポーズをするアールを微笑ましく見ていたところで、メリーが前々から気になっていた質問をぶっこんだ。


 前は付き合っていそうな雰囲気で付き合っていなかったが、今はどうなのだろうか……?


 メリーの質問に、二人は顔を真っ赤にして、ゆっくりと頷いた。


「その、最近……」


「あ、ああ……」


 丁度最近の出来事だったらしい。

 素直に祝福しておくとしよう。


「おめでとう」


「おめでとう~!!」


「「あ、ありがとう……」」


 恥ずかしそうにコクコク頷く二人。


 前世では妬む側だったが、今世では何故か素直に祝福できた。

 周りに美少女が居るからだろうか?


 ともかく、いつまでもこの部屋を使っている訳にはいかないので、ひとまず二人を連れて、屋敷に帰る事にした。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ