表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/74

56 派閥入り

 ブックマークして下さった方、ありがとうございます!

 数日後。

 約束通り、ラムディーノ公爵から書簡でリーニャ用の過去問集が送られてきた。

 そして、派閥関係の話がしたいから来てくれ、という旨の手紙も同封されていた。


 いよいよ来たか、という感じだ。

 一体ラムディーノ公爵がどのような条件を出してくるのか、少し興味がある。

 それを早く知る為にも、昼食を済ませてすぐに公爵邸に向かう事にした。





「おお、来てくれたか」


 毎度思うが、この人は公爵なのに門の所で俺を出迎えていいのだろうか?

 ……まあ、本人がやっている事だし、俺には関係無いか。


「こちらのメリットがなんなのか、興味津々なもので」


「そうか。まあ、立ち話もなんだ。早く上がってくれ」


 それもその通りなので、素直に従っていつもの部屋に向かう。


 ちなみに、向かっている途中に教えてもらったのだが、あの部屋は歓迎室という名前らしい。

 意味は文字通り、心の底から歓迎したい相手のみを入れる部屋、だそうだ。

 なんというか、「お前は歓迎したい相手だ」って言われている感じがして、ちょっとこそばゆい。

 まあ、素直に嬉しがっておこう。


 歓迎室に入ると、今回は既に紅茶が用意されていた。

 俺がすぐに来る事を見越して予め淹れていたようだ。湯気が立ち上っている事から、淹れたばかりな事が窺える。


「さあ、座ってくれ。君が来ると思って淹れておいたんだ」


「失礼します」


 ラムディーノ公爵に促されるまま座り、公爵が紅茶を啜ったので、俺も合わせて啜る。


 しばし紅茶を楽しんだ後、先に俺が口を開く。


「過去問集、送って下さってありがとうございました」


 感謝は大事。

 夫婦仲の悪化の原因だって、感謝が少なくなる事から始まるのだ。

 それは友人関係などにおいても言える事だと、俺は思う。


「礼には及ばぬよ。有効活用できそうかな?」


「ええ。今朝渡しておいたら、早速取り掛かってましたよ」


 そう、過去問集が届いてすぐにルーアに渡したら、家事魔法で他の紙に複製して、複製品をリーニャに解かせていたのだ。

 ちなみに、本や問題集みたいな物を複製するのはよろしくないらしく、ルーアに「大丈夫なの……?」と訊くと、「内緒ですよ……?てへっ」と大変ふざけた答えが返ってきた。

 あの侍女、リーニャに悪影響を与えないか心配である。


 それはさておき。

 俺の答えにうんうんと頷いて上機嫌になったラムディーノ公爵は、早速話題を派閥関係に転換する。


「さて。では、派閥勧誘の話を始めようではないか」


「……お手柔らかにお願いします」


 ラムディーノ公爵の言葉に、俺も公爵もカップをソーサーに置く。

 カチャ、という音が今だけは戦闘開始を報せるゴングのようだ。


「派閥に関する基礎知識、そして貴公を我らの派閥に引き入れた際のこちらの利は、既に話したと思うが、覚えておるかね?」


「ええ、覚えています」


 王を目指す王族が、自分に忠誠を誓う臣下――貴族を集めてるのが、派閥。

 まあ、正しくは王を目指す者以外も派閥を作っているらしいのだが、それは置いておこう。


 そして、今現在主力な派閥が、第一王子派、第一王女派、そしてラムディーノ公爵が属する第三王子派。

 第二王子は性格に難があるとかも言ってたか。


 俺達を引き入れた際のメリットが、他派閥への威嚇、そして武力行使を防ぐ事ができる。

 法だなんだと言っても、結局のところ力は問題を解決する万能の手段だからな。それを防げるというのはかなり大きいだろう。


「そして、君が望んだ報酬は、仲間の安全、そして効率的なレベル上げの手段……で、間違い無かったか?」


「はい、間違いありません」


 次点で友人達の安全もあるが、まあそこまで報酬に織り込むのはやり過ぎだろう。

 もう少しでレベルが80に到達する身としては、レベリング手段はあればあるだけ良い。

 メリー達のレベルも上げて安全性を高めておきたいし。


「一つ目、これに関しては……まあ、我々にできる事は少ない。何せ、貴公らよりも強力な生物なぞ、悪魔や魔王ぐらいしか心当たりが無いからな」


「……まあ、それはそうですね。レベルを上げるのが一番安全になりそうですし」


「とはいえ、何もしない訳では無い。貴族絡みの権力争いや、法律関係に関しては全力で守ろう。今の状況ではあまりできる事は多くないが、我らが覇権を握ればそれらはより容易く行えるだろう」


「なるほど……」


 俺達は権力争いなどに慣れていないので、それはありがたい。

 変に会話から言質を取られたりして、面倒な事に発展したりするのは嫌だからね。


 となると、やはり期待できるのは二番目、レベル上げ方法か。


「そして二つ目、効率的なレベル上げ方法だが……これに関しては、色よい返事ができそうだ」


「ほう……」


 変にもったいぶらずに、すぐに教えて欲しいものだ。


 ラムディーノ公爵は紅茶を一口啜って喉の渇きを潤した後、言葉を続ける。


「フェッルム卿は、迷宮について知っているか?」


「迷宮……まあ、言葉ぐらいは知ってますね」


 なるほど、迷宮がレベル上げに繋がる訳か。


「まあ、簡単に言えば魔物の養殖場だな。とはいえ、人為的な物ではないが……。ともかく、迷宮は資源の宝庫であり、修練の場でもある事から、国単位で管理している。我らがルネキア王国も、一つだけ迷宮を保有している」


「それを使わせてくれると?」


「いや、これに関しては難易度が高くないので、フェッルム卿には合わんだろう。それに、この国の迷宮は一般公開されているからな」


 一般公開されているなら、冒険者が集まりそうだ。


「まあ、そんな迷宮を多数保有している国がある。それが、迷宮国家ヘキサゴン。ヘキサゴンの保有する迷宮は三桁に届くとも言われており、大部分は一般公開されているのだが……少数、国が許可した者以外入る事のできない、高難度の迷宮が存在する。その中には、勇者といえど簡単には許可を取り付けられない物もある」


「なるほど……それの使用権をもぎ取ってくれるという事ですね?」


「そういう事になる。ただし、時間は貰うがな……」


 まあ、それはしょうがない事だろう。

 勇者でも容易にはできない事をすぐさまやれ、というのは無理があるからな。


 とはいえ、難易度がどれくらいか知っておきたい。


「それはどれくらいの難度なんですか?」


「ふむ……。過去に、勇者の従者となった王族が居てな。その方が残した記録では、最高到達記録は五階層だが、三階層に到達してすぐに撤退したそうだ。一階層のボスは、レベル50近かったとの事だ」


「ほう……それは確かに、かなりの難度ですね」


 勇者ですら三階層が限界と。

 逆に五階層に到達した奴が誰なのか気になるな、それ。


 まあともかく、一階層で50レベルなら、深くまで潜ればもっと高いレベルの奴が居るだろう。

 アリだな。

 迷宮ともなれば、何度も戦闘できるだろうし。


「なるほど……かなり良いですね」


「そう言ってもらえて何よりだ。……では、返事は期待しても?」


「そうですね……」


 政治方面での安全が確保できるのはありがたい。

 メリーとかリナに手を出す奴が居たら困るし、獣人という事でリーニャに不満を抱く奴が居てもおかしくない。

 そんな奴らから守ってくれるというのは、かなりありがたい話だ。


 そして、迷宮。

 迷宮があれば、レベリングというナスターニャ神からのオーダーも達成できる筈だ。


「分かりました。俺は、第三王子派に入ります」


「そうか……よかった。……そうだな、まだ時間はあるし、王城に向かおう」


「王城へ?何故?」


「もちろん、我らが主に会う為だ。貴公が味方になった事も、報告しておかねばならない」


「分かりました」


 なるほど。

 ていうか、言われてみたら俺、第三王子の顔どころか名前も知らないな。

 そりゃ、会っておかねばならない訳だ。


 紅茶のカップを片付けた俺達は、早速ラムディーノ公爵の馬車で王城に向かう事になった。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ