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54 巫女の居ない夜

「じゃ~ね~」


 あっという間に夕方になったので、俺は屋敷に帰る事にした。

 メリーはしばらく王城に居なければならないので、一緒に帰る事はできない。

 ラムディーノ公爵も何やら用事を済ませてから帰るらしいので、今日は俺一人だ。


「おう、じゃあな」


 ラムディーノ公爵邸から飛び出してきたので、流石に帰りの馬車は無い。

 仕方無い、歩いて帰るか。


 徒歩で王城を出て見えた景色は、既に復興済みの王城前だ。

 魔王によって結構悲惨な状態になっていた筈なのに、もう完全に元通りになっている。屋敷をたった数日で建てたり、この世界の建築技術はどうなっているんだか。

 案外、魔法的な何かで行っているのかもしれないな。


 そんな事を考えつつ、屋敷に向けて歩いた。





 最近は徒歩で移動する事が少なくなってきたので、危うく道に迷いかけたが、なんとか屋敷に辿り着く事ができた。

 その頃にはもうほぼ日が沈んでいたが……。


「お帰りなさいませ、旦那様。お迎えの馬車を出せず申し訳ありませんでした」


「いや、いいよ。馬車ばかりで移動してると、土地勘が無くなりそうだし」


 出迎えてくれた執事が低頭してしまったので、フォローの言葉を入れる。

 それにこれは本心だ。さっきなんて一度前の屋敷に辿り着いてしまったからな。


「そう言ってもらえると何よりです。間も無くご夕食が出来上がります」


「ん、分かった」


 そういえば、なんやかんやあって今日は紅茶ばかり口にしていた気がする。

 そんな事を考えていると、トイレに行きたくなってきた。食前に行かねば。





 メリーが居ない事情をリナとリーニャに説明しつつ、夕食を済ませた。

 リーニャは少し不安そうにしていたが、数週間もすれば何事も無く帰ってくると聞いて、安堵した様子だ。


 という訳で、どこか旅に出るにしても、メリーが帰ってくるまでの間を待たねばならない。

 何もせずダラダラ過ごす気にはなれないので、何かやる事を考えなければ。


 そう思ってリナとリーニャの二人と今後の相談をしようと思ったのだが、リーニャはダラダラ過ごす気満々なのか早々にベッドに向かってしまった。

 溜め息を吐きつつ、コーヒーを飲みながらリナと話す事にしよう。


「冒険者稼業は正直続ける気にならないんだよなぁ……金は充分あるし、もうその辺の依頼じゃレベル上げにならないし」


「そうね……。王都でできる事なんて限られてるしね……」


 二人でうんうん唸っていると、ふとこの場に居ないリーニャの事が思い浮かんだ。

 そういえば、王都に来る前に学校がどうとか言った気がする……。


「そうだ、学校だよ学校。リーニャを学校に入れればいいんじゃないか?」


「ああ、確かにそんな事も話したわね。……そうね、今は二月だし、準備期間としては丁度良いんじゃない?」


「そうだな」


 日本と同じで四月に入学とは限らないが、アメリカのように九月入学の場合は普通に転入すればいいだろう。

 そうとなったら、貴族学校の入学方法を調べなければ。


 そういうのに詳しそうな俺の知り合いと言えば……やっぱりラムディーノ公爵か?

 他の貴族からは茶会の招待の書簡が来ていたりするが、多過ぎるので返事をする気になれない。

 期限は数日なので、早いところ返事を返さなければ……。

 その事についても相談するか。今日の別れ際に、いつでも訪ねてくれて構わないと言っていたしな。


 あ、ラムディーノ公爵といえば、まだ今日の話をリナに共有していない……。

 その事に今更ながら気付いた俺は、リナに派閥云々の話をした。


「ふーん、派閥争いねぇ……面倒そうね」


「全くもってその通り」


 ただ、ラムディーノ公爵が対価に何を差し出してくれるか次第では、協力するのに吝かではない。

 もし本当に効率的なレベリングを可能にしてくれるなら、それは大いに助かるし。


「まあ、ハリーに任せるわ」


「え……いいの?」


「ええ。そもそも、その話をハリー一人にした時点で、私達はハリーに付いてくって向こうも分かってるだろうし……」


 割と大事な出来事だと思うけど、俺任せでいいのか……?


「私『達』って、メリーも?」


「もちろんよ。メリーもハリーに丸投げするでしょうね」


「丸投げって……言い方」


 まあでも、そういう事なら俺が決めさせて貰おう。


「にしても、王位継承戦とか、面倒よね……普通に第一子に継がせるっていう国法でも作ればいいのに」


「……それだと、第一子が無能だった時に困るんじゃないか?」


「そんなもの、最悪どうとでもなるのよ。面倒な争いを起こすから、革命なんて起きて国が潰れるのよ……。できる事なら、さっさと代替わりして欲しいわね」


「……確かに」


 国が亡びる主な要因は、内部崩壊と外部からの圧力の二つ。

 王位継承争いによる王族や貴族の対立なんて、一歩間違えれば内部崩壊になりかねない気がする。


 ……まあ、そんな事はラムディーノ公爵も重々承知しているか。

 結局のところ、王座に就いた者のその後次第だよな。


「ま、これ以上ここで考えても仕方無いか。もし公爵に協力する事になった時にでも考えればいいか」


「そうね」


 まだ確定していない事にあれこれ頭を悩ませる必要は無い。

 そうと決まった時にどうしようかと考えればよいのだ。


「にしても、メリーが居ないとなんか静かだな……」


 なんやかんや言って騒がしいメリーが居ないと、屋敷全体が静かな気がする。

 使用人達は居るけど、用事でも無いとあんまり喋ってくれないし……。

 もっとフレンドリーに、とまでは言わないが……こう、学校の教師と生徒ぐらいの会話はあってもいいと思うんだよ。


 ……ま、言ってもしょうがないか。

 今日は早めに寝て、明日に備えよう。

 新作の執筆中なので、今あるストックが無くなったら、投稿頻度が落ちます。

 申し訳ありません。

 詳しくは、活動報告をどうぞ。

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