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閑話8 巫女から見た茶会

 ブックマークしてくださった方、ありがとうございます!

※かなり短めです。

「フェッルム卿、本当に助かった!」


「フェッルム卿、礼を言うぞ!」


「フェッルム卿、胸の大きい妻が欲しくなればいつでも教えてくれ!」


「フェッルム卿、何か相談があればこのルラード・ジモーン伯爵を頼ってくれ!」


「フェッルム卿、勇者様に直々に礼を言いたいのだが、どうすればお会いできるのだ!?」


 茶会の会場に入った途端、ハリーが沢山の貴族に囲まれている。


 ――ちょっと、胸の大きい妻が云々ってどういう事よ!


 だが幸いハリーはそこには興味を示さなかったようで、泡を食って対応に困っている。

 普段は見られない顔ね。ちょっと可愛いかも。


 ハリーの横顔を眺めながらそんな事を考えている間に、国王が仲裁に入ってくれたようで、サッと6つの列が形成される。

 本当はこんな貴族達と話しても楽しくないけど、私も貴族になった以上必要な事だから、仕方無い。


「シビル卿、貴公のお陰で助かった。礼を言う」


「シビル卿、あなたは庭園に咲いている薔薇のようにお美しい!」


「シビル卿、あなたの神聖魔法はまるで神の軌跡の如しだ!」


「シビル卿、婚約者をお探しなら是非ともこの私を!」


 中年貴族は大抵感謝を述べたら帰っていくのだが、若い貴族の子弟は求婚まがいなセリフを吐いていくので対応に困る。

 幸い列に並ぶ人数が多いので、みんな一言言ったら帰っていくのが助かる。


 しばらくして長蛇の列が片付いて、空いた机の席に座り紅茶を啜る。

 紅茶の美味しさに目を丸くしている間に、付近の席は貴族の子弟で埋まってしまった。


「どうです、この紅茶は?私の父の領で作っている物なのですが」


「ええ、とっても美味しいですよ」


 若干食い気味に味の感想を求めてきた少年に、にっこりと微笑んで感想を伝える。

 これはお世辞などではなく、本心から言っている。屋敷で飲む茶よりも格段に美味しい。


 私の微笑みを受けた少年は顔を真っ赤にしながらコクコク頷いている。ちょっと可愛いかも。


 その様子を見た他の貴族子弟達が、私と会話しようと必死な様子で話しかけてくる。


「シビル卿は本当にお美しい!そう肌が綺麗だと、やはり手入れには時間が掛かるのでしょうな」


「そうですね、毎朝手間を掛けて――」


「シビル卿の金髪は上質な絹のようですな!私の姉とは大違いです!」


「まあ、ありがとうございます――」


「シビル卿の胸は本当に大きいですな!」


「…………」


 途中つま先を蹴っ飛ばしてやりたい奴も居たけど、概ねは褒めてくる人なので不快になる事は無い。


 無い、筈だったのだ……途中までは。


 私を褒めまくっていた貴族子弟達は、ヒートアップして次第に口論へと発展していく。


「シビル卿、是非私と婚約を!私はこんな輩とは違って、これまで一度も婚約者を作っていない一途な――」


「何を!私は火炎魔法の名家たるトリトルン子爵家の長男ぞ!」


「こんな騒がしい奴らよりも私を!私は歴史あるルーレトン子爵家の――」


「あ、あはは……皆さん、少し落ち着かれては……」


 私がそう言ってみるが、貴族子弟達は止まる事を知らない。

 大体、一途だとか何家だとか言われたって興味が無いのよね。本人の人柄を直に体感しなきゃ分かんないわ。


 彼らを止める事を諦めて苦笑していると、さっきまで中年貴族達に囲まれていた筈のハリーの姿が見えた。


 ――よかった、これでこの地獄みたいな空気から抜け出せそうだわ!


 そう思ってハリーに救いを求める視線を向ける――ちょっと、目を逸らさないで!お願い、何でもするから!あ~、行かないで~!!


 ハリーは無慈悲にも私の視線を無視して他のところへ行ってしまった。

 このまま私がここに居る貴族子弟の誰かと付き合ったりでもしたらどうするのよ!まったく!


「はぁ……」


 無慈悲なハリーに対する悲しみと、早くこの場から抜け出したいという私の切実な願いを込めた溜め息は、貴族子弟の言い合いによって搔き消されてしまった。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

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