表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/74

45 後始末

 短めです。

 エクスカリバーとデュランダルに付着した黒い血を軽く払い、鞘に仕舞う。

 魔王に進化しても死後は変わらないようで、王は他の悪魔達と同じく黒い粒子になって風に飛ばされていった。

 弐、参、肆も同じようにして風化していく。

 まあ、ユニークスキルでも無ければ蘇生できない筈だし、わざわざ集める必要も無いだろう。


 風に紛れて飛んでいった粒子達から意識を外し、次いで付近の状況を見る。

 悲惨な状況は相変わらずだ。ほとんどが即死だったようで、生き残っている者は極僅かな神官達と俺達、そして『高級馬車』の4人だ。神官達は衝撃波のショックで失神、『高級馬車』の方はメリーの治療を受けているようだ。

 誰もこちらを見ていないようだし、一度場を離れて聖剣達を仕舞ってから出直すとしよう。


 視線が向いていない事を再確認した俺は、激闘の跡地から離れた。





 気を利かせてくれたリナが来てくれた事で、鞄に装備を仕舞う事ができた。

 俺は代わりに仕舞っていた灰輝銀(ミスリル)合金の剣を腰に差し、リナと一緒に現場に戻る。


「なんだアレ、役人……?」


「っぽいわね」


 戦闘終了からそれなりに時間が経過したからか、生存者の付近に役人が来ていた。

 面倒臭そうだし、離れておこう……。


「あっ、ハリー君!こっちこっちー!」


 ラルクぅぅぅ!!お前空気読めよ!!


 ラルクのせいで役人に目を付けられた俺とリナは、事情聴取に加わる事となった。


「彼らの証言に間違いが無いか、確認させてもらうぞ。今から私が行う質問に、簡潔に事実を答えてくれ」


「分かりました」


 そう言う役人は「看破」というスキルを所持していた。字面とやっている事からして、嘘でも吐いたらバレるんだろうなあ。


「まず最初に、ここに上級悪魔が2体出現した。それは間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「そして、君とあちらの2人が協力してその内一体を討伐した。間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「その後残った上級悪魔が魔王へと変貌、君がそれを確認した。間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「その際に見た称号やスキルなど、覚えている範囲で教えてくれ」


「はい。まずスキルは――」


 長く見た訳では無いので覚えている情報は少ないが、記憶していたスキルと2つのユニークスキル、そして称号は伝えた。

 役人は手元の紙に俺の言った事をメモすると、質問を再開する。


「えー、更に魔王が上級悪魔3体を召喚した。間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「君達3人がそれぞれの上級悪魔を討伐した。間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「そしてその後、突如として現れた勇者が魔王を討伐した。間違い無いな?」


「はい、間違いありません」


「勇者の行方は分かるか?また、どこから来たかも分かるか?」


 ――ヤバい質問が来た。


「……いやー、ひょっとするとまだここに居たりするんじゃないですかね?そう時間は経っていませんし……」


「そうか。分かった、ありがとう」


 ほっ。

 直接的に「分からない」と表現しなかったからか、何とか耐える事ができた。


「それでは、次に君に質問なんだが――」


 俺だけじゃないの!?

 役人の矛先が、今度は俺の隣に立つリナの方に向く。


「――勇者の装備が入った鞄――そう、これだ。これを持ってきたそうだな?どこから持ってきたんだ?」


「えー、と……私の住んでいる屋敷です」


「ほう……君と勇者の関係は?」


「……主と従者?ですかね」


「なるほど、なるほど……その屋敷の持ち主は誰だ?」


「えー……勇者様です」


 これはセーフみたいだ。まあ、ハリー()も勇者だしな。


 記録を終えた役人が最後に、とばかりに質問をする。


「君達は随分と仲が良さそうに見えるが……一緒の屋敷に住んでいたりするのかね?」


「……それ、訊く必要あるやつですかねぇ?」


「ああいや、そうだな、すまない。では質問を変えよう。君達の関係は?」


「仲間ですね」


「ほう?なるほど、了解した……。後日王城から役人が君達の屋敷に向かう筈だ。名前や住所など教えてくれ」


 一通りの質問を終え、俺達の住所を再確認した後、役人は引き上げていった。引き上げていった、と言っても本拠地である王城はすぐそこなのだが。


 役人が帰ったのを見届けたラルク達がこちらに話し掛けてきた。


「いやー、質問責めで大変だったねぇ」


「おい元凶が何言ってやがる」


「あはは、まあ後から嗅ぎ回られるよりかはマシじゃないかな?」


「……確かに」


「そうだろう?」


 まあ、面倒事を先に消化できたという事にしておこう。

 コイツが巻き込みたかっただけという線も捨てがたいが、今は疲れているので不毛な言い争いはあまりしたくない。


「で、何か用か?何も無いなら早く帰って寝たいんだが……」


「良ければお近付きの印に夕食でもどうかな~、と思ったんだけど」


「あー、言われてみればそんな時間か……」


 激闘で意識が回っていなかったが、空を見上げてみれば少し赤みがかっている。確かにそろそろ夕食の時間だ。


「場所の当てはあったりするのか?」


「いや、特には」


「そうか……じゃあ、うちの屋敷に来るか?」


「おお、いいのかい?じゃあお邪魔しようかな」


「おう。……メリーとリナもそれでいいか?」


 念の為2人にも確認を取ったが、幸い頷いてくれた。

 リナの方は実に微妙な顔をしていたが。

 ……料理の手伝いもして、それとは別で何か機嫌を取る手段を考えておこう。


「それじゃ、行くか」


 ラルク達を屋敷に案内するべく歩き出す。


 ……あれ、そういえばなんか一人足りないような……?


「なあ、リーニャはどうしたんだ?」


 隣に立つリナに囁きかけると、両手を広げて頭を振られた。


「寝てるわ。叩き起こそうとしたんだけど、全然起きないから時間も無いし置いてきた」


「ああ、そう……」


 まあ、リーニャが居てもあまり役には立て無さそうな状況だったし、気にしない事にしておこう。

 少しでも面白いな、と思って頂けたら、感想・評価・ブックマーク等して下さると非常に嬉しいです!今後の活動のモチベーションになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ