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かろうじての進級

 先生の助言を受けて、トーマスは必死にイメージを重ねた。すると、彼の周囲に、かすかに光を放つ膜が浮かび上がった。結界魔法が、なんとか起動したのだ。 しかし、その結界のサイズはまだ小さい。国境線を結界で守るだとか、街全体を覆うような、巨大な結界を張るイメージには、まだ到達できていなかった。だが、小さな一歩でも、それは確かな進歩だった。 トーマスは、自分の魔法が、少しずつ形になっていくのを、夕日の沈む地平の向こうに見つめていた。


 二年の終わり、ラウラは理論も実践も、両方で優等生の座を保ったまま、進級試験を迎えた。 トーマスは、今回も苦戦していた。理論でも実践でも、合格ラインぎりぎりのところで足踏みを続けている。今回もまた、ラウラが作成した「これだけ覚えれば合格できる」という教材を使っていたが、実践がうまくいかないと、理論の勉強にも身が入らないらしく、どこか投げやりな様子が見て取れた。


「たかが進級試験で絶望しているような魔法使いが、卒業して使いものになるのかしら」


 ラウラがそう挑発しても、トーマスは「どうせ俺なんか、だめな魔法使いさ」といじけるばかりだった。だが、ラウラはさらなる言葉を投げかけた。


「トーマスは、結界魔法が攻撃にも使えるってこと、忘れちゃったの? 攻撃魔法なら誰にも負けないのが自慢だったじゃない」


 この煽りには、トーマスも反応した。 「結界魔法で敵の体全体を覆って、中の空気を抜いたり、水を満たしたりすれば、敵は戦闘能力を失うのよ」 と、ラウラは続けた。


 その言葉を聞いて、トーマスは再び真剣な表情で結界魔法の実践に取り組み始めた。彼の顔つきから、いかに攻撃に結びつくイメージが、彼のやる気を引き出すのか、ラウラは改めて知った。トーマスは本当に、攻撃に繋がらないとやる気が出ないのだ。 彼女は、彼の単純さに呆れながらも、その素直な反応を少し微笑ましく思っていた。


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