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家族会議

 その週末、ラウラは再びワーグナー家に戻り、陸軍司令部でのできごとを、家族に克明に話した。厳めしい将軍たちの視線、ハインリッヒ少佐の詰問、そして、シュミット中将の予期せぬ称賛と解放。全てを語り終えると、部屋には、ランプの光だけが、静かに揺れていた。


 フリードリヒは、腕を組み、深く唸っていた。 「上層部の今後の判断は分からないな。君の論文が彼らの想像を超えていたことは間違いない。だが、あの再生魔法の『禁忌』が、軍にとって都合の悪い真実であることも確かだ」


 クリスティーナは、顔を輝かせた。彼女の行政的な牽制が効果を上げたことを知って、満足そうだった。 「建設大臣を使っての牽制が、やはり効果があったわね! 軍もラウラを、もはや安く扱えなくなったでしょう。もし、研究所で嫌なことがあったらいつでも私のところにおいで。あなたはもう有名な魔法使いだから、土木建設局でも大歓迎されると思うわ」


 その言葉は、ラウラの心に、かすかな安堵をもたらした。クビになることはないだろうとは思うが、万が一、軍の圧力が研究所にまで及んだときには、姉のところに世話になろうか、と、ラウラは一瞬、心の中で考えた。


 父のハンスは、娘の話の背後にある、より大きな影を読み取ろうとしていた。 「軍が再生魔法にこれほど興味を持つのは、戦争を考えているのか? フリードリヒ、どうなんだ」 その問いは、一家の長としての、静かで重い懸念だった。


 フリードリヒ兄さんは、冷静に答えた。 「軍の上層部の考えは分からないけど、戦争の兆しは今のところないよ」 彼は、推測を付け加えた。 「軍では、演習の時にも怪我人や死者が出るから、そういった平時の損耗を何とかしたい、という意図もあるのかもしれない」


 しかし、ラウラは、リヒター少将の質問の鋭さを思い返していた。 「リヒター少将は、やけに具体的に戦場での再生魔法について聞いてきたわ。私が最前線に赴いて再生魔法を使うイメージで、お答えしたの」


 ラウラの言葉に、父ハンスは、テーブルを手のひらで静かに叩いた。彼の眼差しは、魔法使いの力ではなく、その力を国家がいかに利用するか、という構造的な問題に向けられていた。


「もし、本当に戦争のためにラウラを使うのだとしたら、一人ではどうにもならない。あの者たちは、再生魔法の使い手を量産する方法も、必ず考えているに違いない」


 ハンスの言葉は、会議室の冷たい真実を、そのまま映し出していた。ラウラの論文は、一つの奇跡の術を明らかにしただけでなく、それを模倣し、利用しようとする、新たな力の渇望を生み出してしまったのかもしれない。ラウラを取り巻く物語は、まだ終わりそうになかった。


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