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一筋縄ではいかない防御魔法

 ラウラたちは魔法学校の二年生となり、多岐にわたる防御魔法を学ぶことになった。一年で習ったのは、主に攻撃魔法だったが、二年では1年で習った主に物理的な攻撃魔法を防ぐ方法から精神を攻撃する魔法から身を守る方法まで教えられた。「魔法学校で学ぶ最も重要な魔法は防御魔法だ」、と担当のギュンター先生は口を酸っぱくして言った。

 ダメージを減少させる魔法、物理的な壁を作り出す防壁魔法、魔法的な壁を作る結界魔法、そして魔法攻撃を跳ね返す反射魔法。次から次へと、実践を交えながら覚えさせられた。

 精神攻撃から身を守る魔法は、聖魔法の一つで、得意とする者が限られるという。ラウラは、結界魔法までは簡単に会得できたが、反射魔法と精神防御魔法は苦手だった。一度「苦手」だと思ってしまうと、イメージが湧きにくくなるのが、魔法の難点だと彼女は痛感した。

 反射魔法は、結界魔法で創り出した壁を、鏡で作るようなイメージでようやくそれらしいものができた。だが、ギュンター先生は「少し違う」と言い、合格点をもらえなかった。

 トーマスは防御魔法の習得に苦労していた。防壁魔法は簡単にできたが、結界魔法以上になると、途端にうまくいかなくなる。「魔法で結界を作るイメージが湧かないんだ」と、彼は不満そうに言った。ラウラは「頭から魔法で作った大きな布をかぶるようなイメージで、その布はどんな魔法攻撃も通さないって思うのよ」と助言したが、トーマスは「布じゃ弾や矢は突き抜けてしまうだろう」と反論し、うまくいかなかった。彼の魔法のイメージは、いつだって現実の物理法則に縛られていた。

 ギュンター先生は、トーマスにさらに具体的に教え始めた。「反射魔法は、魔法で作った鏡をイメージするんだ。この鏡は、光だけじゃなく、ありとあらゆる魔法を反射する鏡だと信じ込んで、それを攻撃してくるものに対して構えるんだよ」。

 そして、結界魔法についても、彼は別の言葉で語りかけた。「結界魔法は、防御壁を魔法で作る、と考えると分かりやすいんじゃないか? 魔法で作るんだから、材料は君自身の魔力だ。自分の魔力を、壁のように固めるんだ。さあ、やってごらん」。

 先生の助言を受けて、トーマスは必死にイメージを重ねた。すると、彼の周囲に、かすかに光を放つ膜が浮かび上がった。結界魔法が、なんとか起動したのだ。しかし、その結界のサイズはまだ小さい。国境線を結界で守るだとか、街全体を覆うような、巨大な結界を張るイメージには、まだ到達できていなかった。だが、小さな一歩でも、それは確かな進歩だった。トーマスは、自分の魔法が、少しずつ形になっていくのを、夕日の沈む地平の向こうに見つめていた。


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