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土砂崩れの夜

その日の夕方から、研究所の病院には多くの怪我人が運び込まれてきていた。公共工事の現場で土砂崩れが起き、大勢の人が生き埋めになったという。 現場周辺の医療機関には怪我人が殺到し、先端医学研究所には、特に重篤な状態の怪我人が運ばれているという連絡が入った。これほど多くの重篤な患者がいるということは、現場の状況がどれほど悲惨だったかを想像させた。


カミラとラウラも、回復魔法を駆使して骨折や切り傷の治療にあたっていた。だが、患部、いや患者そのものが泥だらけで、清潔な状態を作るのが難しい。 医師と看護師、そして魔法使いが作業を分担し、看護師が患部を清潔にし、医師が外科治療か魔法治療かの区分けを行い、魔法使いは回されてきた重症患者に回復魔法を施す、という流れ作業で治療にあたっていた。


やがて、カミラの魔力が底をついた。彼女自身、これほど大勢の患者を連続して治療するという経験はなかったのだ。魔力に余裕のあるラウラが、カミラに魔力の融通を働きかけると、「そんなことできるの?」とカミラは驚いた。


「双方が同意すれば、魔力の融通は可能だと聞いているわ」 ラウラが返事をすると、カミラは叫んだ。 「さっさとやって!」


ラウラは、カミラの背中側からそっとその肩に手を触れ、「魔力を送るわね」と囁いてから、魔力を込めた。 「何か温かいものが流れ込んでくる気がするわ」 カミラが言うと、その顔に生気が戻っていくのが分かった。 「魔力が回復したみたい。もう大丈夫、治療を再開しよう」 カミラは再び、怪我人の治療に立ち向かっていった。


ラウラもまた、回ってきた怪我人の骨折や切り傷を治していった。だが、その中に、見知った顔があり、大いに動揺した。


「姉さん……!」


怪我人の中にいたのは、ラウラの姉、クリスティーナだったのだ。 彼女は確かに官僚として国の土木工事の管理監督をしていたから、今回の事故の現場に居合わせても不思議ではない。クリスティーナの体は表向き怪我をしていないように見えたので、ラウラはドクターに尋ねた。 「この患者の見立ては!」


「内臓の損傷が疑われる。一刻を争う状態だ!」 医師は怒鳴るように返してきた。


身内の怪我。しかも、内臓の損傷という難しい治療。動揺を隠せないラウラに、カミラが叫んだ。 「どいて! 私がやる!」

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