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それぞれの進路

 ラウラは優秀な成績で魔法学校を卒業した。このままいけば、公的な機関で魔法職として採用され、その才能を国家のために使うことになるだろう。だが、ラウラはとりあえず、久しぶりの我が家へ帰ることにした。


 故郷の家は、変わらない温かさでラウラを迎え入れてくれた。ただ、少しだけ父ハンスが老けたように感じられた。久しぶりに家族全員が食卓を囲み、ラウラが魔法学校での出来事を話すと、皆が楽しそうに耳を傾けた。 父と母が微笑ましそうに、クリスティーナとフリードリヒとシュテファンが興味深げに聞いている。


 やがて、ラウラの進路の話になった。 「夢が多すぎて、まだ決めきれないの」 と、ラウラは正直に答えた。


 すると、姉のクリスティーナが口を開いた。 「土木建設局に魔法職の空きがあるわ。魔法で土木工事を手伝ってくれない?」


 兄のフリードリヒも負けてはならじと続いた。 「軍でも魔法職はいつも不足している。攻撃部隊でも後方部隊でも重宝されるぞ」


 二人の誘いに、ラウラは少し困ったように笑った。 「一番興味があるのは回復魔法だけど、聖女にはなりたくないの。聖女になったら攻撃魔法や防御魔法とは縁が切れてしまいそうだから、そうすると国家の期待は裏切ることになるのかな……」


 彼女は続けた。 「いっその事、生活魔法を駆使したハウスメイドでもいいかなって思っているの」


 その言葉に、家族は驚き、そしてそれぞれの顔に、ラウラらしいなという表情が浮かんだ。彼女の未来は、誰かが決めるものではなく、彼女自身が選び取るものなのだと、皆が静かに感じ取っていた。


 魔法学校の友人たちで「聖女」という二つ名のあったカミラはかねてからの進路である教会に所属し、名実ともに聖女となった。これからも教会を訪れる老若男女の体や心を癒す人生を送るのだろう。 攻撃魔法が得意だったトーマス・ジョーンズは何と卒業試験に落ちて三年生をもう一年やることになった。本人はひどく落ち込んでいたが「もう一年頑張って、回復魔法に取り組んでね」とは慰めたが、卒業後の希望に満ちたラウラの励ましは逆効果だったかもしれない。


 そして、トーマス・ジョーンズがこの後留年を理由に奨学金を止められ放校処分となることを、ラウラは知る由もなかった。


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