1.【プロローグ】
はじめまして。ご覧いただきありがとうございます!
この作品は「転生×知識チート×ほのぼの×ハーレム」系の物語で、辺境の村でのスローライフや、魔法でスイーツを作るちょっと変わった展開を楽しんでもらえたら嬉しいです。
初投稿で至らぬ点も多いかと思いますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。
感想・評価・ブクマなど、とても励みになります!
どうぞよろしくお願いします!
【プロローグ】
ここは王国のはずれ、森と山に囲まれた小さな村。
地図にもまともに載っていない辺境の地だけど、空は広くて、風は気持ちよくて、なによりごはんが美味しい。
そんな村で、ひときわのんびり暮らしている少年がいた。
名前はユース。
平民の家に生まれ、特別な才能があるわけでもなかった……はずだった。
けれど彼には、「前世の記憶」がある。
前世では、発展途上の国で農業や食べものの支援をしていたボランティア青年だった。
甘いものを作って、子どもたちに配るのが楽しみだった彼は、この世界でも――
「よし、今日は焼きリンゴと、ハチミツパンを作ろうか」
「やった! ユースの焼きリンゴ、大好きっ!」
横でぱたぱた走ってくるのは、火魔法が使える幼なじみの女の子、フィリア。
赤毛の髪を揺らして、手には小さな魔法の火を灯している。
「えへへ、ちゃんと火、弱めにできるようになったんだよ?」
「うんうん、上手になってきたね。今日もよろしく、フィリア火力担当!」
「まっかせてっ♪」
そう言って、ふたりで畑の裏にあるかまどに火を入れ、甘いおやつ作りを始める。
りんごの香り、焼き立てのパンの湯気。
その空間には、魔法じゃない「幸せ」がふんわりと漂っていた。
◆
この世界では、魔法を使える人はとても少ない。
そんな中で、ユースとフィリアは魔法が使える。
特にユースの魔法は、めったに見ることのない「光属性」。
光る手で傷を癒したり、お腹を壊した家畜を元気にしたり――
「やっぱりユースの手って、不思議だよね。あったかくて、ホッとするの」
「うーん、自分ではよくわからないんだけど……なんか、ぽかぽかするよね」
彼の力は、本来、神聖な国に生まれた者にしか宿らないとされるもの。
それが、こんな辺境の村に、ふつうの平民として現れたのだから——
村人たちは驚きながらも、彼を優しく見守っていた。
今日も、畑に種をまいて、甘いものを作って、フィリアと笑い合う日々。
ユースの「もうひとつの人生」は、静かに、でも確実に動き始めていた。
まだ、誰も知らない。
この村の少年が、やがて王国の運命を変える光になることを――。