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君と僕

「ねぇ、もし私がいなくなったらどうする?」





「和真ー!おはー」

玄関で待っているといつもの声が聞こえてくる。

ちょっと寝癖がついてる髪の毛に急いで着替えたせいか少しずれているリボン。相変わらずだ。

「おはよ。今日こそははやく起きるって言ったよな?」

少し目線をずらして誤魔化そうとする。

「えーっとぉ、そんな事いったっけ?」

たまには怒りたくなるけど笑顔でこっちを向くからなかなか怒れない。

「まったく。明日遅かったら置いていくからな。」

呆れるように言うと

「...うん。きっと、明日はひとりだよ」

「なんて?」

小さい声で上手く聞き取れなかった。暗いなと思い聞き返すと

「ううん。なんでもなーい」

と、いつものように明るく返すのであまり気にしなかった。

それから、遅れそうになり走って学校に行った。


ガラガラ

なんとか間に合ってクラスの戸を開けると真っ先にあいつが喋りかけてきた。

「お!和真おはよー。お前いっつと愛菜といっしょだなぁ」

「おはよう星斗。お前は相変わらず周りに男子しかないないな」

あいつは宮田星斗(みやたしょうと)向こうがああ言ってきたので俺も言い返すことにした。そしたら

「うっせぇな、どーせ年中彼女募集中ですよー」

と笑いながら返してきた。こんな会話でけらけらと笑っているといつもの2人もきた

「朝から相変わらずだねー、いっつもバカなことばっかで」

「確かに。」

チビで可愛い顔してるくせに毒舌なのが紫依京太(しいきょうた)口数が少ないそこそこ身長イケメンが渡部恍磨(わたなべこうま)

「おはよいつにも増して毒舌で」

苦笑いするとにこやかな笑顔で

「ありがとう」

なんて返してくるので、更に怖くなる。こいつが怒ったらどうなる事やら。

「恍磨おはよ」

こっちはどうせ「おはよ」だけしか返してこないだろうと思ったが、

「おはよ。いつになったら愛菜に告るの?」

なんて聞き返してくるので席につこうとしていた俺は盛大に椅子からコケた。

「は、はぁ?」

またこの話かの前にいつも言わない事を言ってくるので驚いてしまった。

「べ、別にそんな予定ねーよ」

この話をすると絶対星斗が入ってくるから厄介だ。

なんて思っていたら案の定入ってきた。

「そーだよー!いつも一緒に登校して一緒に帰ってるくせにー!愛菜ちゃん告白まってんじゃねぇの?」

あまりにデカい声なのでクラスの半分がこちらを向く。

ただそのほとんどが男子だが。愛菜は容姿端麗で人当たりがよく人気者。それに比べ俺は、まぁなんと言うか。たとえるならゲームの村人Aってところだ。相手が恍磨みたいなイケメンなら分かるが俺となると話は変わってくる。

「やめてあげなよー。和真全部びみょーなんだし」

こいつは。助けているのか、けなしているのか、

「仕方ないしこの話はまた明日にしよう。意気地無しの和真のためにも」

(お前、、だから彼女できねーんだよ)

と言ってやりたかったがなにをされるか分からないので心に留めておく。

そんなこんなで一日がすぎた。

「やっと帰れるー!」

やっぱり星斗は終始うるさい。

「そーだなぁ。早く家帰ってYouTubeみてー」

なんて話していると愛菜がこっちへ来た。

「和真帰ろー」

授業が眠たかったのかまだウトウトしている。

「おう。お前らまた明日なー」

ちょっとかっこよくみんなの方を見ないで挨拶をすると

「じゃーなぁカッコつけ」

「さようなら。ダサいイキリキッズ」

「じゃあ」

なんとも辛辣な返事。

ふっと笑ってから愛菜の手を引いて帰る。

今日もいつものように他愛のない会話をしていた。

急に愛菜が真剣な顔をして言う

「ねぇ、もし私がいなくなったらどうする?」

おれはいきなりの事でびっくりした。だが答えはすぐに浮かんだ。

「もちろん探す」

この返事が嬉しかったのか向こうを向いて照れくさそうに

「ありがとう」

と微笑んだ。その顔を見たくて覗く。ちらって見ると、その顔は涙でいっぱいだった。

「え、どうした?なんか嫌だったか?」

なんで泣いているのか分からない。とりあえず泣き止ませようといろいろ考えたが思いつかない。震えている愛菜の手を掴もうと寄ったら、急に視界がゆがんだ。

「えっ....」

世界が歪んでいる。俺はパニックだった。至る所にヒビが入り俺と愛菜との間に大きな亀裂が入る。

「愛菜..!」

必死に愛菜の方へ手を伸ばすが、まったくこっちを見ない。

「愛菜?」

あまりにも世界がぐにゃっと歪むのでこのあとのことはよく覚えていない。分かるのは愛菜が泣きながら

「バイバイ」

と言ったこと。

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