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S·プロローグ:
「余は...思いもよらなかった!なぜ?!なぜ余は予測できなかったのだ?! あああっ、ああ...!」
老人は嘆き悲しんでいる。
その孤老の体は跪ぎながら、顔を地面に埋めく様なまま縮める。
王冠はとっくに頭から落ち、誰も知らないどこかのほこりだらけの隅に転びたのだろう?
何たる退廃?
だが、それももはやどうでも良い、もう意味ないだから。
権威も、尊厳も。
何一つも、あの沈む夕日を引き留めることは出来ない。
「これらは…ぜんぶ、余が……」――と言葉にした喉声は、徐々と咽び泣きの声に覆われ。その弓のように曲げた背骨が震えていた。
そして老人は見上た。
その枯れ木な手はあの死にゆく天に伸ばし。「頼むぅぅ!沈めないでくれぃぃ!」――と、まるでそう伝えようとしていた。
残り最後の一滴、その夕日が沈み消えた瞬間、老人ははっきりと見た――
あの森の豊潤の緑は突然暗く、天空も最後は枯れ色で照らされた。
やがて老人は無力に腕を落とし、絶望の中で、自らの命がそのまま流れ尽きることを静かに待つだけ。
これこそ、運命輪廻よ…!
老人の乾いた唇は、死ぬ寸前、そう呟いて動いた。