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4.誕生日会(中盤)

お昼前、

私はラルフを筆頭に執事達に支度を整えてもらい鏡の前に座っていた。楽しみだったアリスティアの姿を見れる為、るんるんの気分だったのが鏡に映る姿を見た瞬間、理解が出来なかった。その姿は幼いながらもよく知っている人物とそっくりだったから。


名を アリスティア・スザール


私が前世でプレイした乙女ゲーム『精霊姫~魔法学園での出会い~』の悪役令嬢だ。




さかのぼること数時間前、朝のミルクのちょっとした騒ぎのあとお父様とお母様は準備があるからと居なくなりラルフと数名の執事だけがこの部屋に残った。


「アリスティア様、今からパーティーの支度をいたしますね。」


「?うん」


何を言ってるの?朝からみんな準備してくれてるじゃないか。


首をこてん、と傾けると執事達がほうっとしたようにアリスティアのことを見る。


「可愛らし過ぎる!あぁ、俺も女の子が欲しいな。」

「ばヵっ、あのスザール公爵と夫人の子だから可愛いに決まってるだろ。」


そんな会話が聞こえてきた。

確かにあの美男美女の両親からちょっと残念な顔の子が生まれてきたらね。悲しいよね。


「お前たち!アリスティア様が可愛らしいのは幼子でも分かる当然のことです!無駄口叩く暇があるなら働きなさい!」


ラルフはそう言って、私を抱え浴室へ向かう。


当然のことなんだ。なんか将来期待されすぎて心配だわ。


さっきラルフが言ってたパーティーの準備とは、私自身の準備だった。

まず風呂に入り、次にドレス。ドレスといっても赤ちゃんがきるものだから大したことないだろうって考えていたけどけっこう凄かった。

赤の生地に白いレースが施され、全体的に小さなリボンが散りばめられている。


凄い、ちゃんとしたドレスだ。可愛い!


ドレスを着せて貰うと、次は髪だ。自分の髪は見えないのでどうなっているか分からない。ラルフ達を待つこと数分間。「完成です。」と言う声と共に執事達からやりきった感が感じ取れた。


「あいがどう」


日頃から頑張っていた言葉の練習の成果を発揮したわ。頑張って練習してたのよね。


「可愛い!」


そう言う声が頭上で聞こえた。


あれ、言葉の方は褒めてくれないのか。頑張ったのに。


「ありがとうと言えるなんてアリスティア様は凄いですね。」


ラルフよエスパーか。褒めて欲しかったところを褒めてくれるなんて。嬉しい…


すると、他の執事達からも「ありがとうと言えるなんて確かに凄いですね。」「そんなこと言って貰えるなんて嬉しいです!」などとも言って貰えた。頑張って練習してよかった。今度はみんなの名前でも言う練習しようかな。



しばらくすると、執事の一人が鏡を持ってきた。80センチぐらいのだえん形の鏡だ。淵は金色に飾られており、ゴージャス感を感じさせる物だ。


鏡だー!やった!この世界に来てから自分の姿を一度も見たことが無かった。だから可愛いと言って貰っても、分からなかったがこれでしっかり分かる!


鏡が前に来て、自分の姿を見た瞬間理解が出来ずに固まった。前世でプレイした乙女ゲーム『精霊姫~魔法学園での出会い~』の悪役令嬢だったから。


幼いながら、整った顔立ち。ルビーの瞳はぱっちりでキラキラと輝いている。銀髪の髪はさいどで結ばれており、頭には花冠がのっている。肌はお母様の血をこく受け継ぎ陶器肌。確かに将来美しくなるであろうことは容易に出来た。

だが、今はこんなことどうでもいい。だってこの悪役令嬢の運命は 死 だから。


どうなってるんだ~!?

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