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爽やかな春風に銀の髪がなびく。ルビーのような美しい瞳は生まれてからの日々を思い返し、どこか懐かしむ気持ちで窓から空を眺めている。
ふと、後ろに気配を感じ振り向く。
「姉さん、どうしたの?空なんか眺めてさ。」
「クリス!」
大好きな義弟が優しい表情を浮かべ、扉に寄りかかっていた。
「うーんとね、なんか時間が経つのは早いなぁって」
「?まぁそうだね。」
私がこの世界に来てから、13年の時が流れた。ついに明日から乙女ゲームの内容がスタートする。
「よぉし、明日から頑張るぞ!」
「姉さん、よく分からないけど程ほどにね。」
拳を突き上げた隣でクリスがため息をつくのが見えたが、無視した。