4、異変
かなり短めです。
………ふあ〜、皆さんおはようございます。転生2日目です。いつも通り、ケージ内は真っ暗です。ま、暗くなくてもやる事ないけど。
俺は誰か(読者)に挨拶しながら、暗闇の中で目を覚ました。まだ魔女は来ていないらしく、明かりは当然、下手な鼻歌もない。
とりあえず腹が減ったのだが、餌が入った皿が見えない。まあ、当然っちゃ当然だが。
俺は魔女が来るまで暇で暇で、それを解消すべく、体を思いっきり伸ばす。すると………。
ガアァァン!!
「ッ!?」
………………ったあ〜〜!?え、なんで!?足がジンジンするんだけど!?俺ってこんなデカかったっけ!?
俺が伸ばした足はその勢いのまま壁に激突し、派手な音と骨に響くダメージを撒き散らした。多分だが、足はめっちゃ赤くなってると思う。
俺は足を抱えながら悶えていると、ふと、あることに気づいた。
………あれ?俺の手足ってこんなに長かったっけ?なんか手足が人っぽくなってるような………。
俺は疑惑を確かめるために、昨日できなかった直立を試す。
よいしょっと………………うん、立たちゃったね。もっといえばケージの壁より目線が高いね。
思ったより簡単に立てた俺の目の前には、ケージの壁に隠れて見えなかった光る石のようなものがたくさん落ちていた。
なんだこれ?って、そうじゃない!なんで俺は人間に戻ってんだ?原因といえば………ああ、あの薬か。
今の体の異変の原因が分かったのと同時に、部屋の明かりがパッとついた。そして、その直後に予想通りの人物が慌てて現れた。
「なになになになに!?こんな時間に奴らは来るわけないはず………………って、え?誰?」
部屋に一つしかないらしいドアを喧しく開けた魔女は俺を見て、意外と素朴な疑問を口にする。
俺は魔女から目線を外し、自分の体を見下ろしてみる。目線の高さから察していたが、この体は3、4歳くらいの身長で、全体的に幼い感じだ。それと、明かりがついたことで分かったことがある。それは………。
「棒がねぇ〜〜〜!?」
「え、なに!?なんなの!?」
俺の叫びと魔女の困惑した声が部屋いっぱいに響き、俺の同胞のはずのネズミ達を驚かせた。