2、実験体
時間が足りなくて短くなってしまいました………。
目覚めて最初の景色は真っ暗闇だった。
………よし、まずは記憶の確認だ。俺は中月 音加。高一で、運動神経は悪い方。妹が一人いて、両親も元気だ。それで、最後の記憶は〜………確か変なコスプレイヤー達が一人のショタっ子を取り合って喧嘩してるのを見たところまでだ。
………もしかしてだけど、コスプレイヤー達の喧嘩に巻き込まれた?あのコスプレイヤー達は自分は神だ的なこと言ってたし………。
え、ホントに巻き込まれた………?う〜ん………、今は肯定も否定もできん………。
とりあえず、辺りを見回してみる。周りは暗闇が広がっているだけで、当然のように光は一切無い。しかし、自分の態勢のせいで見えてない可能性があるので、うつ伏せの状態から立とうとした。
………………うん、ちょっと待ってね。運動神経がどんなに悪くても立ちことはできるだろ………。
一回立とうとしたが、起き上がるときについた手を離した瞬間にうつ伏せに戻ってしまった。それなりに痛いが、今はそんなことは気にしてられない。また、同じように立とうとする。
ふぬぬぬぬ………………ぐはぁ!?やべぇ、立てねぇ………。これじゃ頭に浮かんだ悪い予想が当たってしまう………!
またしてもうつ伏せになってしまい、どんどん嫌な予感が膨らんでいく。次で最後だと覚悟を決め、もう一度立とうとする。
ふぬぬぬ………ぬぬ………ぬ………………ぷはぁ!うん、無理!これ体の構造上、元から立てん!つまりは〜?
………………はい、人外になったようですはい!しかも、自分の心音からして俺は小動物らしい。
なんでそんなことが分かるかって?実は、動物の寿命は心臓の脈動回数で決まっていると言われていて、心臓の脈動が早ければ早いほど寿命が短い、つまり、小動物って訳だ。ちなみにソースは動物図鑑のDVDだ。
今の体は立とうとする前から心音が早く、今ではフルオートハンドガンを撃っているみたいに聞こえる。
早鐘を打つ心臓を落ち着かせるために、うつ伏せから仰向けになる。そのときも、やはり人間には無い感覚があり、小動物ではなくとも人間では無いことは確実だ。
そうして仰向けのまましばらく寝転がっていると、ふいに声が聞こえた。
「よし、今日の実験体も無事に培養されてるね。じゃあよろしく、子ネズミちゃん。」
その声が聞こえたあと、真っ暗だった空間が明るすぎる光で満たされた。
俺は突然現れたその光によって、目がやられてしまい、両目をおさえながら悶える。
ぐえっ!目が、目がぁ〜!?
そうやって転げ回っていると、俺の体が何かに掴まれ、持ち上げられた。そう俺の体が、だ。
俺は自分が鷲掴みされてることに少し恐怖しながらも、光に慣れてきた目を開ける。そこにいたのは………
「〜〜〜♪〜♪〜〜〜〜♪」
俺を片手で持ちながら独特なテンポの鼻歌を歌っているTHE・魔女だった。