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え?ネズミってマジっすか?  作者: 慢ろなる旅人
15/25

15、上にいる者達

いつも二ついいねがついてる………………見てくれている人がいるんだなーと励ましになります。ありがとうございます。今回は少し短いです。

「で?勝手に冥界から魂を拾ってきて、勝手に転生させたことに対しての弁明はありますか?」


「………………………………………」


「そうですか、だんまりですか。なら、こっちも手段を選びませんが、よろしいですか?」


「え、ちょっ、待って、まさかソレを使うの?それって確か………」


「はい、かの有名なアイアンメイデンです♪」


「それはシャレにならないってえぇぇぇ!?」


 真っ白な空間に、中性的な絶叫が響く。ついで、ガッチャン!と重厚的な音がなり、ピタッと声が止まった。


「はあ………あのバカはいつになったら真面目になるんでしょうか?しかも、あんななのに私より高位なんですよね………」


 少年を躊躇なくアイアンメイデンへ押し込んだ女性が右手を静かに小さく振ると、アンティークな木のテーブルとイスが音もなく現れる。さらにその上に、どこからともなく書類と思われる紙が数枚舞い落ちた。


「やはり、仕事を残していましたか………。こんな簡単なのを残すのは、ちょっと理解ができませんね。後でやろうと思ったか、バレてもそんなに怒られないと思ったか。まあ、どっちにしろ仕事をサボってたのは事実なので、あとでお仕置きを増やしておきましょうか」


 女性はイスに座ると、アイアンメイデンを横に見ながら、いつのまにかあった万年筆で書類に何かを書いていく。紙の枚数に反して書くのは多かったのか、やや時間をかけて仕事を終わらせた。


 ちょうどその時、アイアンメイデンがグワッシャャャン!!と轟音を響かせながら内側から破裂する。アイアンメイデンがあった場所には、鉄屑と化した凶悪な長針と、血塗れになりながらも無傷である少年がいた。


「ちょ、ちょいとランガロフ・クワチェット君?アレはボク以外にやるとほんと死んじゃうからね!?めっちゃ危ないよ!?」


「つまり、あなたにはやっていいんですね」


「いや、ボクにもやっちゃダメだよ!!」


「あと、本名で呼ばないでください。あなたに呼ばれると虫唾が走ります」


「そ、そこまで言わなくても………」


 少年があまりダメージを負っていないことに少し不満な女性改めランガロフは、右手を振ってアイアンメイデンの残骸を消した後、未だ血塗れの少年を強制的にイスに座らせた。


「え、えと?お仕事はもう終わりじゃあ………?」


「あなた、サンクセス・ハヤグロリアは当然聞いてましたよね?これは、追加のお仕置きです」


 ランガロフはそう言って、今度は虚空から1枚の書類を取り出す。その書類は、ランガロフが先ほど書いていたものと少し違っていて、それがいかに重要なものかを物語る雰囲気を放っていた。


 少年改めサンクセスは、それを見て思わずランガロフを二度見する。それに対し、ランガロフは微動だにしない。


「ねえ、ほんとにこれやるの?ボクとしては、これはちょーっとご勘弁願いたいのだけれど………」


「ダメです。早くサインしてください。さもなくば、またアイアンメイデンの中に入れますよ」


「………………これで何枚目だっけ?」


「これで………………32枚目ですね。契約書はまだまだ残ってますよ」


「なんでボクは契約書を渡してしまったんだ………!?」


 サンクセスは頭を抱えながらも、丁寧な字でサインをしていく。最後のハネを書いた瞬間、書類は光の粒となって虚空へ消えていった。


「これで契約成立ですね。今後は、あなたは緊急時いを除いて私の許可なしに魂に触れることはできません。もう犬猫感覚で魂を拾ってこないでください」


「はーーい」


 ランガロフの言葉に、サンクセスは少し鬱気味になりながら返事をする。そんなどんよりとしたバカを放っておいて、ランガロフは此方・・を向いた。


「さあ、もういいでしょう。あなたは早くお帰りなさい。サンクセスの改造は済んだようだから。………………実は、私もあなたに少し興味があります。精一杯生き抜いてください」


「やっぱり!ランガロフ・クワチェットも興味深々じゃないかぐちがべぐぎょぐるあ!!?」


 イスから立ち上がってランガロフに詰め寄ろうとしたサンクセスは、ランガロフの見事な裏拳によって面白いくらいにぶっ飛んでいった。


「………さあ、世界へ旅立ちなさい。あなたを見守っているのは、私達だけじゃありません。安心して、心の行くままに生きてください。では、さようなら」


 そこで、ネズの意識は真っ暗闇へと落ちていった。

ちなみに、ランガロフ・クワチェットとサンクセス・ハヤグロリアという名前は、めっちゃテキトーです。意味なんてありません。

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