12、六校時目
はい、今回も(以下略
「その称号ってのは、その人が特殊な条件をクリアして獲得できる、レベルのないスキルみたいなもんだよ。何かいい称号あった?」
「う〜ん、この『勇者』とか『東神の化身』とか『剛魂者』とか強そうだな」
「え?『小心者』と『勇者』以外にそんな持ってたんだ………。あ、いや、そうか。『白痴小鼠』はそもそも『ヒノボリ』で湧出したんだっけ。なら、『ヒノボリ』の主神の属性を引き継いでもおかしくないか」
「ん、ん、ん?まあ、よく分からんが、『東神の化身』は『白痴小鼠』全員が持ってる称号ってことでいいのか?」
「うん、そゆこと。でも、『勇者』はなんでネズが持ってるか分からんし、『剛魂者』に至っては全く知らない称号なの。とりあえず、ステータスの説明出してみて」
「えっと、確かステータスウィンドウを注視する、だったっけ………………うお!?ほんとに出てきた………。えーと、なになに………………『勇者』、異世界から来し勇ましい者に付けられる称号。条件、一定以下の違反指数およびステータスタグの未確認、総合評価による一定以上のスキル強度が必要。効果、恐怖の緩和、全ステータス10%上昇、称号『魔王』を持つ者への攻撃1.5倍。………………『剛魂者』、金剛のように極めて固い魂を持つ者に付けられる称号。条件、一定以上の魂強度、記憶の保持が必要。効果、精神系攻撃に対する完全耐性、魂の状態での思考可能。………これぐらいだな」
「………………強いなぁ」
「これ強いのか?」
「何言ってんの!?二十年間スキルをこつこつ育ててきた私を瞬殺するくらいの力があるよ!?………………ほんと、へこむわー」
「へこんでるところ申し訳ないが、このステータスタグってのはなんだ?」
「んあ?………ああ、それはね、全ステータスの数値を足した数値のことだよ。この数値は同じ数はないから、個人を特定するためにあるの。でも、異世界人は別の物理法則の世界で生きてきたから、数値化はできない。だから、ネズもステータスはないはずだよ」
「確かにステータスの欄はerrorって書いてあるな。ってか、すんごい今更だけど、フィネアは俺が異世界人だって知ってたんだ?」
「そりゃね。あんな小さい子が流暢に喋るんだもん。異世界人以外有り得ないよ」
「そりゃそうか。でも、そんなすんなり受け入れるもんなんだな」
「あーいや、それは地域によるかな。私達がいるゼルドルバル帝国は、とりあえずなんでも受け入れる国だからね。教育にもそれがよく表れてる。でも、北のエルフ領とか南の小国家群は、他所者は全て敵としか見てないよ。そう考えると、ネズが私のところで転生したのは本当に良かったよ」
「お、おう、なんか、ありがとう?」
「なんで、そこで感謝?」
「いや、フィネアが異常に優しくて混乱した」
「あん?もう一度言ってみろゴラ。縛りをキツくしてやるよ」
「ちょっ、やめろ!これ以上食い込んだら変な扉開けそうだから!俺はMにはならんぞー!!」
「Mが何かは知らんけど、割と本気で嫌がってんねー」
「当ったり前だ!これくすぐったいのと同時に、結構痛いんだからな!幼女に使う縛り方じゃねぇよ!」
「ネズは幼女って感じしないけどねー。まあ、そんなことは置いといて、これで『授業』は終わりだよ」
「え?授業って言ってる割にはかなり短かったぞ?こんなんでいいのか?」
「だって、だって、だって!!ネズは私より強いんだよ!?これでも『宮廷魔導士』の私を生まれた時から超えてる奴にどういう授業したらいいんだよーー!?」
「いや、なんか、ごめん。い、一応、これは転生者特典ってやつで、本人自体が強い訳ではないから………な?」
「分かってるよ………。転生者は大抵こっちの世界の都合で勝手に呼び出してるから、その人に対する神様からの詫びでそんな強くなってるのは分かるよ………。でもね!それでも、私を超えた転生者はいなかったの!それくらい私は強いの!それを!生まれた瞬間、それもまだネズミの時から超えてるってどういうことなのー!?」
「………………うん、なんか、ごめん」
「はぁ………いや、これは嫉妬って分かってるし、ネズは謝らなくていいから。でも、自信なくすわー………………はぁ」
「えっと、もう『授業』はないのか?」