自他共に認める最強の俺は何故か追放された~とりあえず勇者に「ざまぁー」と言ってやった~
流行の追放系です、よろしくお願いします。
『お前を追放する』
「は?」
俺は唐突の追放宣言に面を食らっていた。
俺に追放宣言をしたのは、このパーティーのリーダー兼勇者だ。
「なぜだ、理由を教えてくれ」
勇者は俺の見ないで背を向けたまま答えた。
『お前は不要になった』
「(なぜ俺の顔を見ない、お前らしくないぞ、何か文句あるならいつもみたいに正面から殴りかかる勢いで来いよ、どうしたんだ。)」
「おい、なぜ俺を見ない、俺とお前の仲だろ隠し事はやめろよ」
『...』
「なんか言えよ」
俺は勇者に掴みかかるために歩を進めたが、他の仲間に止められた。
『往生際が悪いですよ』
『そうですよ、さっさと自分の無能さを認めてさっさと目の前から消えてください』
俺を止めたのは女騎士と女弓術者だった。
俺が二人の態度に驚いていると最後の仲間も俺を追放に賛成のようだ。
『まだ、分からないのですか、邪魔なんですよ、あなたはさっさと消えてください』
そう言うと勇者の近くにいた女魔導士が勇者に体を寄せた。
「(いや、お前ら二人ができてるのは知ってたけど、俺の追放とそれ関係あるか、それより勇者の奴はいつまでだんまりを決め込むつもりだ、やっぱり一度キッチリ話す必要がありそうだな)」
俺は勇者に言葉を投げた。
「おい、いつまで黙ってんだ、お前も本当に俺が不要だと思うのか」
『...』
「はぁー、何抱え込んでるか知らねーが殴り倒せば嫌でも言うだろう』
俺は再び勇者に対して歩を進めた。
『あなた、なに勇者様に近づこうとしてるのよ』
『そうだ、お前は追放者、高貴な勇者様に近づくのは許さない』
また女弓術者と女騎士が俺を止めた。
「お前らなら俺の[スキル]の危険性を知ってるだろ、死にたくないならどけ」
二人は苦虫を潰した顔になりながら道を開けた、次の瞬間勇者が消えた、否、[勇者スキル]を使い大幅に身体を強化して高速移動をしたのだ、気が付けば勇者は剣の鞘で俺の腹部を突いていた。
俺は猛烈痛みで前のめりに倒れてしまった、「(マジでどうしちまったんだ、喧嘩で[勇者スキル]使うなんて)」、声を出そうにも腹が痛くて出せない。
『転移しろ』
勇者が俺に背を向けながら追放の執行を命じた。
『はい』
女魔導士が魔法陣を展開して、呪文を唱える、俺に対する転移魔法が完成し始める。
「これは、おい、何やってる」
俺は必死に声を出し静止しようとした。
『さらばだ』
最後の瞬間まで背を向けた勇者の声を最後に俺は王都に転移された。
そして俺はパーティー追放された。
**********
転移で王都に飛ばられた俺は、待ち構えていた貴族たちに勇者パーティーの資格を剥奪され正式に追放が決定した。
その状況に俺は困惑しかなかった、まるで事前に俺が追放になるのが決まって準備をしていたように感じる、誰かが手引きしたとしか思えない、だが誰が何の意味があって最強の俺を勇者パーティーから追放したんだ。
勇者パーティーを追放された俺は一端の[冒険者]に戻っていた、単的に言えば元の鞘に収まっただけだ。
俺は追放されてから数日王都の[冒険者ギルド]で酒を飲みながら堕落し、追放された理由を考えていた。
[冒険者とは
かつては未開の地を探検する人々の総称だったが今では何でも屋に成っている、ゴミ拾いから[モンスター]の討伐までなんでもござれ、そして冒険者ギルドはその仲介所を組織化し、冒険者を管理している(基本放置)]
酒を飲み、考え、また酒を飲み、そして考える、やはり考えてば考えるほど今回の俺の追放が不自然すぎる、勇者の馬鹿が洗脳されている可能も考えたが奴の精神を支配できる奴がいるとは思えない、やはり自主的に、だがなぜ。
俺はひたすら答えが出ないまま思考を回し続けた、そんな時一人の男が冒険者ギルドに飛び込んできた。
『勅命 王都北の森に大多数の強力な[モンスター]の群れを確認した、王はこれを国の危機と判断なされた、よって討伐戦には戦闘可能な冒険者は強制参加となる、詳しくは冒険者ギルドに任せる』
男はそう言い書類をギルドの職員に渡し出っていた。
直後ギルド内はざわざわし始めた
『やべーよ、やべーよ、やべーよ』
『逃げちゃダメかな』
『低ランクならお咎めなしだけど、それ以外は良くてギルドから除名、普通は処刑、悪いと拷問刑』
『やべーよ、やべーよ、やべーよ』
『マジかよ、そんなの聞いてねーぜ』
『冒険者になる時に書いた契約書に、戦争は免除するけど、それ以外の天災は参加する旨が書いてあったぞ』
『やべーよ、やべーよ、やべーよ』
『うん、読んでなかった、そもそも字が読めない、はー、今のうちにあの子に告白しようかな』
『おや、死亡フラグかな』
中にはギルド職員に詰めかける奴もいる
『おい、おねーちゃんどうなるだよ』
『こちらも今確認中なので』
『早くしてくれよ』
まさに巣を叩かれた蜂の如くだな、しかしうるさいな、これではまともに考えも纏まらないな、仕方ない俺が片付けるか、俺は酒の入ったジョッキを一気に煽り酒を飲み干し席を立った。
未だワタワタしているギルドのカンターの職員に俺は声をかけた。
「おい、ギルドの責任者を出せ」
『いや、今それどころでは、それよりアンタ誰よ偉そうに』
「ああ、俺はこうゆう者だ」
俺は装備で隠れて見えない首に掛かっている冒険者の等級を表す証を出した。
『最高位のS級冒険者・・・』
「おい、さっさと一番偉いのをここに連れてこい」
職員は俺の証を見て固まっていたので、動かすために声をかけた、そのおかげた再び動き出しカンターの奥へ消えていった、周りの冒険者も俺が高位の冒険者だと分かったらしくただ静観している。
しばらくするとそれっぽい男性が出てきた。
『私がここの責任者です、失礼ですが等級の証を確認させてください』
俺は証を外し、責任者に渡す、責任者は俺の証を水晶にかざした、この水晶は仕組みは一切不明だがなんか証の確認ができるらしい
『おお、確かにS級しかも異名持ち異名は[次元斬]』
責任者が俺の異名を口にした瞬間周りの俺に対しての注目が一気に高まった、まぁ名前だけは有名だからな。
俺は証を戻し責任者との話に戻った
「[モンスター]の数と種類を教えろ」
『いや、その、さすがに貴方様でも今教える事は、せめて裏で』
「いいから今教えろ、じゃないと今回の討伐戦に参加しないぞ」
『確かにS級だと、特権で今回のような戦闘は回避できますが、いや、しかし』
「アンタの判断で貴重な戦力を逃がしたとなれば責任はアンタが取る事になるぞ」
『はい、分かりました、お教えいたします』
そう言って責任者は先程伝令が置いていった紙を出してきた、それには[モンスター]達のできる限りの詳細が記載されていた、俺は内容を確認する、B級大多数・複数の群れも確認、A級大多数・数個の群を確認、S級十数体確認、合計おおよそ10万、次に種類を確認するふむふむ、余裕だな。
[モンスターとは
害獣を強く、デカく、ヤバく、たまに異形にした存在、ただし倒して得られる毛皮などの素材で防具などが作成できるので富を生むので一概に害悪とは言えない]
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俺はギルドに討伐は俺がすると事、討伐したモンスターの片づけに人を集めておくこと告げ俺は北の森へ向かった。
モンスター達を目視できる距離に入った、俺は木に登りてっぺんから状況を確認する。
「(さすが、王都の偵察、情報にほぼ誤差は無いなただ数が少し多いぐらいだな、まぁ誤差の範疇だな)」
俺は愛用の短剣を抜き[スキル]を発動させる、短剣は仄かに輝く、これが俺の[スキル]発動の予備動作だ、まぁこれを見たときには相手は死んでるだけどな。
次の瞬間、約千体のモンスターが紐を切られた操り人形のように倒れる、それが俺が[スキル]を発動させる度に起こる。
[スキルとは
先天的または偶発的に後天で得ることが出来る超常現象を発生させる能力の事、例として水を無制限に出せる、呼吸するだけで強くなれる、なんでも治癒できるなどが確認されている、またスキルは使い続けると成長し稀に変異する、ちなみに魔法はそれらの能力を再現、対抗する為に作成された技術である]
モンスター達は俺を敵と認識したらしく迫ってきている、今回は過去に討伐した事があるモンスターのみなので楽勝だ2~3時間で終わるだろう、「(さて蹂躙するか。)」
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王都兵と冒険者の混合軍が北の森に進んでいた、しばらくすると鉄の匂いが一体にただよってきた、事前の選別でされた偵察を放ち、軍は王都の兵で守り堅実に固め、まとまりが無いがそれぞれの強さを持つ冒険者で崩す、布陣を取り、偵察の帰りを待った。
しばらくすると偵察が一人だけ帰ってきた、この時指揮官は他はやられたと思い心中で散った偵察達に感謝し生き残りから報告を聞いた。
『報告を』
『...』
『(無理もないきっと目の前て仲間が死んだのだから)』
『報告を』
『は、はい、報告します、既にモンスターは殲滅済みです』
『ふむ、そうか、やはり辛い戦いになる、うん?、今殲滅済みって言った?』
『はい、一匹残らず殺されていました、あと男一人が居ました』
『フーー、ハーー、スーーー』
指揮官は色々な感情を抑えるために深呼吸を続け、収まると偵察に質問をした。
『その男は、S級冒険者か』
『はい、[次元斬]と名乗っていました』
『ハーーこれだからチートスキル持ちは』
指揮官は呆れたように頭を抱え、しばらくして軍に指揮を出した。
『王都兵は帰還、冒険者はモンスターの死体回収、後始末を実施、私は帰って酒を飲む』
『本当にそのようなバカげた報告を信じるのですか』
近くにいた指揮官候補の新兵が指揮官の指示に難色をしめした。。
『ああ、お前まだS級冒険者のすごさを知らないのか、いいだろう将来の為に惨状を見に行くか、新兵は私についてこい、それ以外はここに残れ、念のために戻る時は纏まって戻る』
新兵のみの王都兵と冒険者は再度進み始めた、しばらくするとモンスターの死骸が見えてきた、近づけばその全容が見えてきた、周りには多種多様のモンスターの死骸、そして赤、緑、青などの色とりどりな血が一体を彩っている。
近づくと、モンスター死骸で足の踏み場もない、そんな光景を見て先程指揮官に意を唱えた新兵が絶句する。
『こんな、事が本当に、いやきっと数万の精鋭隊が』
『残念だが違う全て一人の男が倒した』
『いや、あり得ません、そんな事不可能です』
『不可能を朝飯前如く可能にするのがチートスキル持ちだ、これが現実だしっかりみろ』
『いえ、私は認めません、決して、絶対にです』
『ふふ、分かるぞ、その気持ち、いいだろう証拠を見せてやる』
『証拠ですか』
指揮官は地面に落ちている手のひらサイズの虫型モンスターの死骸を拾い、新兵に見せた。
『こいつはデスコックローチ、一体では弱いが複数個体になると危険度が一気に上がる、それがおおよそ数千、これならA級は超えているだろう』
『それが如何したんですか、我々王都兵はS級十数体を倒せるように訓練されてます、たかがA級など』
『確かに、A級は我々にとって決して脅威にならない、そう倒すだけなら造作もない』
そう言い指揮官はデスコックローチを新兵に投げ渡し、続けていった。
『そいつの致命傷はどこだ』
『え、恐らくこの腹部を縦に切られているのが致命傷だと思われます』
『そうだ、デスコックローチの唯一の物理的な弱点は腹部だ、ちなみにそのように腹部を縦に切るか粉々にしないと基本死なない、覚えとけ』
『はい、ですがそれがS級冒険者の凄さと関係があるのでしょうか』
『では質問を質問で返そう、このデスコックローチの死骸の山から、腹部を縦に切られていない個体は何体だ』
そう言って指揮官はまるで標本の収集家が用意したとも思える、デスコックローチの山を指さした、新兵は山を書き分け致命傷が違う個体を探した、必死に探した、しかしそんな個体存在しなかった。
見つからない事に絶句している新兵に指揮官は楽しそうに声をかける。
『居たか、いないだろう』
新兵は手に持っていたデスコックローチを強く握り絞め、栄光ある王都兵が有象無象の冒険者以下であるのを認めたくなくて強く反発した。
『たかが虫を綺麗に倒したぐらいで何がすごいんですか、そのぐらいこの私でも簡単にできますよ』そう言いデスコックローチを地面に叩きつけて踏みつけた。
『そうか』指揮官は短く答え、腰に掛けている剣を高速で抜き新兵の首を軽く剣先で触った、新兵は驚き指揮官の正気を疑った。
『いきなり何をするんですか』
『いま、反応できなかったな、デスコックローチは先ほどの剣と同じ速度で不規則に空中を移動する』
『え』
指揮官は新兵に近づき鎧を軽くたたき続けていった。
『いい鎧だが、デスコックローチに突撃を許せばへこむだろう、お前の鎧が潰された内臓を吐き出すのはおおよそ100と数体だろう』
『...』
新兵は知っている指揮官は戦いについては決して状態を言わない事を
『ちなみにデスコックローチは異常に軽く、外殻も硬い、今のお前では決して切る事はできない、その証拠にお前が踏んでいる奴は傷一つついていない』
新兵は踏んでいたデスコックローチを拾い、状態が変わっていない事に絶句し心の声が口から出た。
『弱いのでは』
指揮官はその質問に優しく答える。
『ああ、弱いぞ何せ1体だとB級だからな、S級に比べたら雑魚中の雑魚だ』
新兵は何かが吹っ切れたように口を開いた。
『そうですね、S級に比べたら雑魚ですね、そしてはそれを倒せない私とは一体、そしてB級をまさに虫けらを殺す如く殺せるS級冒険者とは一体、はは』
若干病み始めた新兵を指揮官は慰める。
『確かに剣ではデスコックローチを倒せないが、こいつらは火に異様に弱く、一度火が付けば連鎖的に燃えて群れも一掃できる、戦闘は単純に戦闘力だけではない、知識も重要になる、分かったか』
『はい、分かりました、戦闘能力では劣っても知識では決して負けないように努力します。』
『(チョロい)』
指揮官は続けて周りの新兵に話を振る。
『いいかお前ら今回はS級冒険者という化け物が対処したが、本来このモンスター達は我々が対処するべきはずだった、王都の土地は多くの魔力が含まれている、我々はそれを燃料などに活用している、その恩恵で王都は発展し、国も大きな力を有した反面とてもモンスターが発生しやすい特性を持つ、これはこの土地に住む者の業のようなものだ、その業から国民を守るのは冒険者などの半端ものではなく我々王都兵だ、分かったか、帰って酒を飲むぞ今日は全て俺のおごりだ』
『おおー』(新兵一同)
帰りの道中指揮官候補の新兵が指揮官に質問をした。
『[次元斬]のスキルとはいったい何なのでしょうか』
『私も詳しく知らんが、本人が酔った時に喋ったと言われている内容では刃物の切る行程を飛ばし「切った」結果のみを残すスキルらしい』
『つまり、デスコックローチの腹部を実際に切ったのではなく、スキルで切った結果を残したと』
『他のモンスターも同様にな致命傷だけで倒していた、まぁスキルの能力が本当ならそうなるだろう、だが実際の所は本人しか分からないからな』
『スキルの詳細が知られれば対策される可能性がありますからね、ではデマでしょうか』
『さぁーな、分からない事考えても仕方ない、それより帰って酒だ今日は寝かせんぞ』
『はい、最後までお付き合いいたします』
王都兵は王都へ撤退していった。
*******
冒険者ギルドの買い取り責任者が[次元斬]に機嫌をうかがうようには話しかける。
『次元斬様買い取りはどのようにしましょう』
「死骸の純売値の半分が俺、残りはギルド、回収の冒険者の報酬はギルド持ち」
『それでは横暴では』
彼は丁度近くに落ちていたデスコックローチを拾った。
「この死骸の貴重性は理解できるだろ」
『はい、理解してます、完璧な状態のデスコックローチは一体で平民の五人家族が3年間慎ましく生活できる額です、そもそもデスコックローチ性質上生体はほとんど、燃やされて死骸が残る自体稀です。』
「その通りだ、でそれが数千、さてそれをただ回収して、売りさばくだけでギルドは苦労なく大金を得れる、それでも俺の要求は横暴か」
『いえ、もう少し割合を』
「別に今からでも全て粉微塵にしていいんだぞ」
『勿体ないのでやめてください、あなた様の要求は飲むので』
「よし、金は俺の口座に振り込んでおいてくれ」
『承知しました』
責任者は下がっていた。
「よし、お前らさっさと回収しろ、終わったら宴会だ、当然俺持ちでな」
回収している冒険者達は分かりやすい鼓舞に歓喜する。
『しゃーー』
『よ、さすがS級強さだけでなく懐もデカいぜ』
『野郎ども、さっさと終わらせるぞ』
回収はおおよそ半日で完了した。
ギルドの酒場にて冒険者達はバカ騒ぎをしていた。
『ガハハハッ、タダで飲む酒はうまいぜ』
『おら、料理が足りないぞ』
『おい、誰か俺と飲み勝負しろ』
「(やっぱりバカ騒ぎは嫌いじゃないな、ふふ、勇者が居たら酒飲みで一体何人抜いただろうな、はぁーマジで何故俺を追放したんだ)」
彼は勇者と長い事一緒に活動していた、それにより理不尽な行動に対しての怒りより真意を知りたい思いが強かった。
「(決めたどうせ考えても分からないだ、なら真実を知ってそうな奴の口を割った方が早いだろう、そうなると知ってどうなのは聖都のあの司教か)」
彼はその日の内に王都をたち聖都に向かった。
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王都の館の一室に人の良さそうな初老の男性が書類作業をしていた。
その部屋の窓がそっと開いた、そして一人の男が侵入してきた。
「よう、司教様久しぶりだな」
男は馴れ馴れしく司教に話しかけた、司教は彼を見た瞬間天井から吊るされた人を呼ぶための紐を引っ張るために手を伸ばしたが、
男が短剣を抜き、短剣が仄かに輝くと紐は根元から切られてしまった。
司教は部屋から逃げようしたが、男の言葉に足が止まる。
「アンタの配下に俺のスキルを無効化出来る奴がいるのか、いないなら人を呼んでも無意味に犠牲を増やすだけだぞ」
司教は覚悟を決め怒れる化け物と会話を始めた。
『何用でしょうか』
「とぼけるな、俺の追放の件だ根回ししたのはアンタだろ」
『いえ、なんの事でしょう、そもそも貴方様の追放自体初耳ですので』
「あくまでしらを切るか」
『しらを切るも、本当に何も知りませんので』
「(本当にこの人は嘘が下手だこの人は嘘をつく時身体的癖が出る、ここまでの会話全て嘘だ、だが面倒だこの手の人間は拷問されようが殺されても思念を曲げない、さてどうしたものか)」
男は攻め方を暴力から情に変えて司教攻めた。
「うう、俺は怖いんだ、実はパーティーの皆に迷惑を掛けていたのでは無いかと、そう考えると、酒を溺れるほど飲まないと寝れない日々なんだ」
男はウソ泣きを続け涙を流しながら続けた。
「勇者、勇者なぁどうしてなんだ、なんでなんだ、俺の何がいけなかったんだ、なー教えてくれ、なー」
男は続けて見えないかつての仲間の幻影が見えているように謝罪を始めた。
「女騎士、お前の騎士道を貶したからからか、女弓術者、あの時強く当たったからか、女魔導士、勇者とのイチャイチャしてるの邪魔してしまったからか、なぁ皆許してくれ、悪気はなかったんだ、いくらでも謝るから、なぁ、なぁ、なんで返事してくれないだ、俺は喋るにも値しなくなっちゃったのか、なぁ、なぁ、ああああああああ」
男は泣き崩れ何かに怯えるように頭を抱えて何かを誤るようにうつ伏せになって、何かブツブツ独り言を繰り返している。
司教は男に近づきそっと肩に手を乗せた、男は顔を上げ司教の顔見た、司教は涙を流しながら優しい顔していた。
『貴方がそこまで思い悩んでいたとは知りませんでした、私が話してしまえば私は裏切者になりますが、一人の心を救えるなら、裏切者罪喜んで受け入れましょう』
「では、教えていただけるのですね」
『ええ、勇者様が貴方を追放した理由を』
「(やはりこの人はそこらの生臭坊主と違って、見本のような聖人だ)」
男は無事目的を達成して自分が追放された理由を知った。
「はは、そんな理由かよ、まったく馬鹿どもめ俺に相談しろよ」
『貴方はこれからどうするつもりですか』
「問題の[魔王]のスキルの詳細を調べるために学園都市に行く」
『そうですか、それでは私が秘密書籍の閲覧許可書を書きましょう』
司教はそう言いペンと紙を出し羽ペンにインクを漬けて、スキルを使用した、ペンと紙が注意して見ないと分からないほど弱弱しく暗く輝いた、それと同時に紙に文字が一瞬で書き込まれた、再度ペンにインクを漬けてスキルを使用するそれを数度繰り返し、スキルでは上手くいかなかった箇所を手動で直し、最後にサインと印を押し蝋で封をした。
「相変わらずいい精度のスキルだな」
『ええ、凡人の私の数少ない長所の「執筆代行スキル」ですから』
「ところで何故[魔王]のスキルを調べさせていないんだ」
『一応極秘情報ですし、今は政治が絡んできて知っているのはごく少数です』
「そうか、面倒だな」
『まったく、その通りです』
司教は許可書を男に渡す。
「感謝する」
『いえ、貴方様に神のご加護を願っております』
男は窓から出ていき学園都市へ向かった。
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『勇者様ついに来ましたね魔王城』
『ああ決戦は近い、[魔王]は必ず倒す』
『しかし、本当に彼は追放してよかったのでしょうか』
『あれで良かったんだ、理由を話しても最終的には最後まで付いてくるような奴だからな、このパーティーで一番付き合いが長い俺が言うだから間違いない』
勇者は味方を鼓舞して魔王城に侵入した。
『さぁ、最終決戦気張っていくぞ』
[魔王とは
突如[魔人]国家を設立し、王都に宣戦布告した者詳細は不明である、ちなみになぜ軍なく少数の勇者パーティーで討伐を決行している理由は魔王の本拠地魔王城までの地形では軍としでは大きな不利を抱える事になる為、軍の進軍はしていない]
[魔人とは
獣人、魔族、精霊など人外の存在を大雑把に言い表した言い方だ、具体的な分類などは決まっていない]
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男は司教から貰った許可書とS級冒険者の証を使い、一般人では決して見れない、書籍を使い調べ事をしていた、そんな彼に一人のたぶん人間が男声で話しかけた。
『我が弟子よ、息災か』
「おお、師匠、お久しぶりです、まったく気が付きませんでした、さすがです。」
たぶん人は次に女声で返した。
『あら、ありがとう、S級冒険者のあなたに認めて頂き私めも光栄ですわ』
「その色声も相変わらず、すごいですね、本当に人間ですか」
次に子供声で『う~と、秘密だよ、お兄ちゃんになら教えてもいいかもね、知りたい』
「いえ、知らない方が幸福な事もありますので』
最初とは別の男声で返す。『そっかー、じゃけんちょっくらオイラと遊ぼうぜ』
「訓練ですね、久々の指南喜んでお受けいたします」
二人は特殊訓練場に行き、訓練をした。
男には複数の師匠が存在し、そのおかけであらゆる技能を持っている、暗殺術、解体学、生物学、植物学、潜伏術、偵察術などの他技能を各最高位の師匠から指南を受けている。
男は暗殺術の師匠にボコボコにされ、訓練所から二人で出てきた。
「さすが師匠、まったく歯が立ちませんでした」
『ふふ、13回殺そうとしたのに、未だに君は生きている、ふふふ』
「その発言は冗談だと信じでおきます、兎にも角にも指南ありがとうございました。」
『ああ、いつでも来なさい、次は殺してあげるから、ふふ』
「では自分は調べ物の続きがあるので、これで」
『ああ、我が弟子よ、達者でな』
そう言って暗殺術の師匠は握手を求めてきた、男は普段師匠は握手など求めてこないので困惑していたが、男は応えて握手をした。
握手後暗殺術の師匠はスッと消えた。
「(まじであの人何者なんだろ)」
男はふと手を見ると何か紙を握っていた、そこにはほしい情報の一歩手前の内容が書かれていた。
「(まじであの人何者なんだろ)」
男は調べ事を終え魔王城にかつての仲間を助けに駆けた。
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魔王を名乗る物が王座の間で高笑いをしている。
『ハハハハハ所詮勇者もこの程度か、弱い弱いぞ』
『クソ、魔王がここまで強いとは』
『ククお前はそこで、我が真の最強になる瞬間を眺めているがいい』
勇者パーティーは鉄の茨に捕まり壁に貼り付けられている、その茨は常に捕まえた対象に苦痛を与える、勇者のみが意識を保っているそれ以外のメンバーは意識を失っている。
『だが残念だったな、魔王、あいつは今王都にいる、決してお前の前には現れない』
『ククク、勇者愚かなり、いい事を教えてやろう、我が密偵によると奴は今この魔王城に向かっている、そう不甲斐無いお前らを助けにな、フハハハハハ』
『そんなバカな、あんな理不尽に惜別したんだ来るわけがない』
『勇者よそれは本当に本音かお前なら、奴が助けに来る理由が分かるのではないか』
『くっ、殺せ』
『殺さんと、貴様等は奴を呼ぶ餌よ』
次の瞬間王の間の大扉が切断され、追放者が入ってくる。
「よお、馬鹿勇者とりあえず、お前に一言「ざまぁー」」
「ねえねえ、どんな気持ち、追放者に助けにられる気持ちは、ねえねえどんな気持ち、最強の俺を追放して魔王に完敗して、どんな気持ち、ねえねえ、本当にざまぁーないな」
追放者が一通り勇者を煽った後に魔王が口を開いた。
『お初にお目にかかります、悪名高き[次元斬]殿、わたくし魔人を纏め上げ人間共を蹂躙を目論んでいる魔王です、以後お見知りおきを』
「これはこれはご丁寧にとりあえず死ね」
瞬間追放者の短剣が輝く、魔王はそれを見て高速で移動する。
『フフフ、いきなり攻撃するとはひどいですね、私だから避けられたのですよ』
「いや、避けれてないぜ」
そう言うと魔王が着ていた鎧のみが切り刻まれ地面に落ちる。
『なんだと、確かに避けたはず』
魔王は驚きながら、自分の体が無事なのか確認する。
「本当は瞬殺してもいいが、馬鹿勇者とお前に格の違いを見せるために嬲り殺してやるよ」
『言ってろ、その虚言二度と吐けないようにしてやる』
「終わったら、何の酒を飲もうかな」
追放者の独り言に勇者が答えた。
『お前はさっさと帰って、赤ワインでも飲んでろ』
「(相変わらず下手だな、了解)」
魔王は高速で左右に上下に移動しながら男に近づき、男は短剣で応戦した。
追放者の短剣は稀に魔王に当たり、傷をつける、だがその傷もスキルで瞬時に直してしまう、そんな事が数度続いた、そして魔王は新たなスキルを使用した、魔王の腕が急激に巨大化し追放者はそれに反応できず捕まり壁に叩きつけられてしまう。
『やった、捕まえたぞ、貴様のスキルは頂いた「スキル強奪」発動』
追放者と魔王の体が強く輝き、しばらくしてそれが収まる、それを見た勇者は絶望の声をあげる。
『ああ、終わった、全て終わりだ』
勇者とは正反対に魔王はご機嫌だった。
『ついに、ついに手に入れたぞ最強のスキルを、これで世界は俺の物だ、やった、やったぞー』
勝利を確信している魔王の巨大化している腕の手首が切断された。
状況を理解できない魔王は狼狽える、それに対して追放者は淡々と魔王に攻撃を続ける
『なぜ、なぜスキルが奪えなかった、俺のスキルは絶対だ』
「遊びは終わりだ本当に死ね」
追放者の短剣が今まで以上に強い輝きを見せる、魔王は避けようと足を動かすが既にその時には全身を切断されサイコロ状にされていた。
『馬鹿な』
魔王はそう言い崩れ落ちる。
「ふー、終わったか」
『まだだ、奴は復活するぞ』
次の瞬間魔王の体は針状になり追放者を襲う、それを追放者は間一髪で回避する、針は一点に収束し、体を作り上げ魔王は復活した、そして疑問を素直に追放者に投げかけた。
『なぜだ、なぜ、スキルが奪えなかった、なぜだ、こんなの初めてだ』
「その疑問に俺が答えてやろう、ズバリ容量オーバーだ、俺は聖都の司教のおっさんから俺が追放された理由が魔王が俺のスキルを奪うつもりだと聞いた、そしてその後学園都市で過去に同じようなスキルがあったか調べた、結果かつての人間の王が同様のスキルを持っていたのが分かった、そしてスキルの詳細が記載されていた。スキルの発動条件は対象に触れている状態、そしてスキルを奪うための容量に空きがある状態、この容量とはスキルを奪うたびに埋まっていくらしい、ここまで分かれば簡単だ魔王は他の奴から奪ったスキルで容量がいっぱいで俺の成長して最強になったスキルを奪うには容量不足ってわけだ、この勝負俺の勝ちだ」
追放者はスキルを発動させ、また魔王を切り刻んだ。
魔王は復元させながら考えた。
『(確かに奴の最強のスキルを奪うには、空きが少なかったが、だが奴の情報には一つ足りない内容がある、俺は奪ったスキルを破棄する事も出来る、それをすれば奴のスキルを奪える)』
魔王は測定眼のスキルを使い追放者のスキルの大きさを測定した。
『(クソ、なんて大きなスキルだほぼ勇者と同じか、だが一度手に入れてしまえば最強になれるんだ、俺は最強になってすべてを手に入れるんだ)』
魔王は追放者を羽交い絞めにし、スキルを使われて対応される前に、自分の奪ったスキルのほとんどを破棄し、スキル強奪を発動させた、また二人は強く輝いた。
輝きが収まると、放浪者は魔王を投げ飛ばした、それと同時に勇者パーティーを拘束してた鉄の茨が朽ち仲間たちが解放されていく、追放者は駈け女弓術者と女騎士を助け、勇者は女魔導士を助け無事着地する。
『おい、おい、目を覚ませ』
「俺に任せる」
追放者が背中を軽く押すと女魔導士は目覚める、それを順々にしていき全員が目を覚ました。
『あれ、勇者様、それと次元斬さんもおうしてここに』
『私は気失っていたのか不覚』
『あれ確か魔王と戦っていてそこから捕まって、そのあとどうなったんだっけ』
女魔導士、女騎士、女弓術者はそれぞれの反応を見せた、それに対して勇者は状況報告をする。
『目覚めて早々申し訳ないが、状況は最悪だ次元斬のスキルが奪われた』
「さてどうかな」
そんなやり取りをしていると魔王の笑い声が響いた。
『ハハハハハ、いまさらメスが三匹とオスが一匹増えた所で問題ない、全てこの最強スキルで殺してくれるは』
声の方を見ると先程の魔王の姿はなく、背丈が子供ぐらいの小鬼が似合わない長剣を振り回していた、それを見て一同は困惑する。
『あれが、魔王の真の姿』
『え?』
『いまなら、私でもやれそう』
『醜い』
「奪ったスキルで容姿を変えていたのか」
魔王は奪ったスキルを使い勇者パーティーを仕留めに掛かった。
『カカカ、死ね死ね死ね死ね、オスは殺す、メスは四肢を切り落として、玩具にしてやる、カカカ死ねー勇者』
そして魔王はスキルを使った、長剣は強い輝いた、そして光は収まったが何も起きなかった。
『なぜだ、確かにオスは首をメスは四肢を狙ってスキルを発動させたのに、なぜだ、なぜ発動せん』
魔王は狼狽え何度も何度もスキルを発動させる、何度やろうとも結果は同じだったそんな滑稽な姿を見て、次元斬は笑いながら口を開いた。
「はは、無駄だお前ではそのスキルは使えない、何故なら素の技量が足りないからだ、教えてやる俺のスキルの詳細を」
彼はそのまま自分の元スキルの詳細を説明し始めた。
「俺のスキル名は切断代行だ、そして能力は切断を代行するだけ、発動には切断に使用する刃物と切断対象を切る明確なイメージと実際に持っている刃物で実現する技量だ、魔王は刃物以外クリアしてない、それがスキルを発動しない理由だ、ちなみに人の首を泣けるならその人間の骨の太さ筋肉量から大きな血管の位置を正確にイメージする必要がある、お前に出来るかなそれが、ハハハハハ」
魔王はスキルの説明を聞いて驚愕する。
『馬鹿な最強だと思ったスキルがただの何処にでもありふれるスキルだったとは、クソだましたな』
「別に俺はだましてない、お前が勝手に自爆しただけた」
『いやその説明では納得できない、俺の腕を切断するには、お前の短剣では不可能だ』
「ああ、それは複数回同時に発動して切断しただけだ」
『なんだと、ならこんなスキル破棄して、勇者のスキルをいただくだけよ』
「今のお前に勇者に触れられるのかな」
勇者は黄金のオーラを纏い魔王を一刀両断した、こうして無事勇者一行は魔王を討伐した。
疲れました。(最後あっさりだけどセーフセーフ)