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第6話

「…ということで、私はアメリカの学会で出されたその結論に基づいて」


「あの、その話まだ続きます?」


 岩田さんが、誰も切り出せなかった言葉を言ってくれた。橋本以外の僕と嶋野は心の中で「ナイス!」と叫んだ。


「あ、すみません…熱くなっちゃって」


「いえ、それで杉谷さんはあの事件は熊の仕業だと思っているんですか?」


「まぁ熊の可能性もありますし、もしかすると人間の手によるものかもしれませんね」


「え、人間にあんな殺し方ができるんですか?」


 橋本の言う通り、人間に人ひとりを真っ二つにする殺し方ができるのかは疑問に思って当然だ。


「そうですね、その場合ですとチェーンソーなどの工具や大型機械などが使われたと考えられます」


「でも、そんなの一般の人には難しいし現実的じゃないですよね?」


「一般の人じゃないとしたら?」


 この言葉に、本棚を眺めてた嶋野が


「龍が如く…」


 と呟いた。


「もしかして、これはヤクザの仕業?」


「私はその可能性が高いと思ってます。ですので今回の件にはあまり関わらないようにしたほうがいいかと」


「でも松本さんがなんでヤクザなんかと…」


「さあ?あまり大声では言えませんが、生徒の中にはクスリに手を出してる人も少なからずいるみたいですし、もしかしたら松本さんもそのトラブルに巻き込まれたのかもしれませんね」


「松本…」


 嶋野が身体に似合わない掠れた声で松本さんの声を呟いた。

 グループで一緒になったとき、松本さんに不審な点は見られなかったし、クスリを使っているとは思えなかった。しかし、チャラい見た目から頻繁に夜遊びしていた可能性はありそうだ。


「なるほど、たしかにヤクザが絡んでるとなるとあまり首を突っ込まないほうが賢明ですね」


「私としては、今日会った皆さんが翌日死体で見つかったなんてニュース聞きたくないですよ」


「ご心配ありがとうございます。すみませんお時間いただいて、僕たちはこれで失礼します」


 僕がお辞儀をしながらそう言うと、他3人も会釈した。


「いえ、私もこういった話題の話ができて少し楽しかったです」


 僕たち4人は別館を後にした。

 時間はもうお昼時で、僕たちは本館の食堂に向かっていた。その道中


「なぁ晃太朗。ヤクザ絡んでるんじゃ諦めるしかないのかな」


「私あんな惨い死に方するのだけは勘弁ね…」


「でも松本が悔やまれねぇよ。なんであんな良いやつが…」


 ドラクエパーティの主力3人が弱気になっている。

 仕方ない、ここは旅芸人が「おうえん」をしてやるか。


「たしかにヤクザが絡んでるんだったら、どうしようもない。でも少し疑問に思ったところもあったんだよ」


「マジか晃太朗!俺特に何にも気になるところ無かったぞ!」


「そりゃ嶋野お前本棚眺めてただけだしな」


「で、その気になったところというのは?」


「まぁそれについては食堂に着いてからしようぜ」


「そういえば私もお腹空いたわー」


 今はまだ授業中なので食堂はまだ混んでいない。

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