第3話
僕たちが今後の行動について話し合っていると、橋本の背後に何者かが近づいていた。そしてその者は、橋本の肩に手を伸ばし…
「ワァ!」
これに橋本は、声をあげることはなかったが、腹パンでもされたかのように体を揺さぶった。顔も真顔になっているのを見ると、もの凄く驚いたのだろう。
「なんだ三兎かよ~」
橋本は後ろを振り返って誰かを確認すると安堵した。
彼女の名前は『岩田 三兎』名前が特徴的でとても覚えやすい。
僕と彼女はあまり接点は無いが、橋本と岩田さんが同じ講義を受けているということで仲が良い。しかし、どうしてここまで仲がいいのか。
それはその講義というのが、橋本と岩田さんの2人だけだからだ。本当はもう1人いたらしいのだが、あまりの人数の少なさに初回以降来ていないらしい。
そのため講義は、先生と生徒との会話が8割の時間となっているとのこと。
岩田さんは身長165cmと女子の中では高めで、僕と5cm差という感じだ。ちなみに僕の方が上である。
「あ、神谷君もいたんだ。それでなんの話してたの?」
「僕はついでかよ…」
そしてこれは確かなことではないが、岩田さんは橋本に好意を寄せている。もちろん男女の関係の意味である。
橋本の方は親しい女友達と思っているようだが、岩田さんは女性として良物件だと思うので、僕としては橋本にもついに春が来て欲しいと思っている。
「いやさ、今朝のニュースで…」
橋本が、今朝のニュースについてとその事件の不可解な点について、そして僕たちがそれを解明しようとしていることを話した。
「それ、私も参加していい?」
まぁこうなることは予想していた。そして橋本が
「もちろんいいよ」
と言うところまでも予測できていた。
そのあとに橋本が切り出す。
「それでまずはどこから調べてみようか考えてたんだけどさぁ…三兎は何か提案とかある?」
「その松本さんを襲ったのが熊じゃない何かと見てるんでしょ?じゃあ『オカ研』に行ってみるとか」
「え、そんなとこあんの?」
橋本は知らなかったようだが、『オカ研』正式名称は「オカルト研究サークル」
名前の通り、世の中の奇怪な物事や存在するかも分からない生物を調べるサークルだ。
なぜここまで僕が知っているのか。それは一度見学に行っているからだ。
ただ、ある理由で入会は拒否した。
「でも…あるって話は聞いたんだけどこにあるか分かんないだよね」
「ああ、僕知ってるから行ってみようよ」
空気だった僕がやっと口を開けた。
「神谷君もたまには役に立つんだね」
「おっと今のは悪口なのかな?」
そんな会話に橋本が笑いながら、僕たち三人はオカ研に向かうことにした。