いつも通りの朝
朝起きて考え事をする。ずっと何かを忘れている...。大切なことを。そんな気がしていた。これは物心着いた時からずっとある感覚だ。別に忘れ物が多いわけじゃない...。自分はどこか、頭がおかしいんだろう...。そう思い込んでいた...。
「おはよー。」
1階に降りたら、そこには父と母が既にもう居た。
「おそいぞ、龍之介。急がないと学校遅刻するぞ。」
父が急かしてくる。もう、7時半だ。少し急がないと遅刻するかもしれない。
「朝ご飯出来てるわよ。遅刻してでも、朝は抜いちゃダメよ。」
母は父と反対のことを言う。お腹はすいているので、朝ご飯を食べる。白米に味噌汁、スクランブルエッグ。いつもどうりの、朝ご飯である。
「じゃあ、行ってきまーす。」
玄関を出る際、一応怒られないように言う。
「あ、いってらっしゃーい。」
「いってらっしゃい。」
母と父の声が聞こえる。それを聞きながら、ドアを閉めた。自転車を車庫から出す。そして、乗る。急ぐ。
しばらく自転車を走らせていると、後ろから声が聞こえた。
「おーい、あまのがわー。」
あぁ。なんだ...こいつか。無視していいだろ...。自転車の音がどんどん近くなってくる。
「おい、聞こえてんだろー。無視すんなよ。」
こいつは俺の友人?クラスメイトの木下である。いけ好かない野郎で、モテモテである。こいつ曰く、親友の俺は最初に無視をするのが朝の日課なのである。
「急がないと遅刻する。じゃあな。」
「ちょっ!?」
自転車のギアを最大まであげる。木下を置いていこうとした...。
余裕で間に合った...。俺は息が切れているのに。こいつは汗もかいていない...。
「この...体力お化けめ...。」
さすが、一年にして、硬式テニス部のエース。運動神経も抜群か...。そんな俺に笑いながら言う。
「お前も、運動部だろ...剣道どうよ?」
「ぼちぼち...かな。」
こんないつも通りの朝。今日もいつも通りの日だと思っていた...。事件は4時間目に起きたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。




