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1 箱の中身

 段ボール箱の中には一通の便せんとその下にも何かの物体が梱包材で守られるように収納されていた。

 僕はまず、便せんの中身を調べることにした。

 中身はメッセージペーパーのようだ。



―――


 おめでとうございます。

 綺羅星 昴様 あなた様は世界初のVRMMORPG

 【New World】のベータテスターとして、

 弊社の厳正な選考の結果、見事当選致しました。


―――



 その後はゲームに対しての説明などが長々と綴られていた。


 詐欺か?


 抱いた第一印象はそれだった。

 だってそうだろう。数年前にVR元年などという言葉が生まれたが、現在のVR技術はゴーグル型のデバイスなどを用いて、視覚や聴覚のみを使用する物などが一般的だったからだ。

 到底、ゲーマーたちが胸に密かに抱く願望として、フィクションの中で語られているような物が実現しようとしている話などは聞いたことがなかった。


 こんなものは無視してしまいこむなり、捨ててしまうなどの選択もあったが、しかしゲーマーとしては世界初のVRゲームと聞いて、黙ってはいられない。


 説明文を速読し、箱に残った荷物を焦りながら確認した。

 梱包材に包まれていたのは350ミリリットルのペットボトルぐらいの大きさの結晶体。

 透明のクリスタルだった。


 それを見て、少し呆気にとられた。

 VRゲームの機器のイメージはやはり多くの創作物などで語られてきた、ヘッドギア型やゴーグル型をイメージしていたからだった。

 まぁ、形なんかこの際どうだっていい。問題は機能だ。どのような仮想現実を提供してくれるのかそれこそが重要だった。


 説明書を読みながら、ゲームを起動する準備に入る。

 ちなみにゲームに関してのプレイ料金は無料との事だった。

 その点はベータテストだから、不具合などを開発する側としては発見できるのだろうし、無料としているのだろうと無理矢理自分を納得させた。

 料金については詳しく契約書を読んだので間違いはないだろう。

 後で莫大な金額を請求されたらたまったものではない。


 VRゲームはその設計上、プレイ中のプレイヤーの肉体は睡眠時に近いものになるらしい。

 そのため、身体をベッドに横たえて起動することを推奨されていたため、その通りにすることにした。

 ベッドに横たわり、クリスタルを両手で握る。

 ちなみにこのクリスタル、ボタンやスティックのような物は一切ついていない。

 どうやってゲームを起動するのかと思ったが、どうやらただゲーム起動を念じるだけですむらしい。

 ひとまず物は試しとやってみることにした。


 その瞬間、僕の意識はまるで疲れ果て眠りに落ちるかのように暗闇の中に溶けていった。




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