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第7話 良い裏切りと人の距離。

 ~交流会 当日~



「それじゃあ、打ち合わせ通りにね。」


「はい。」


 中1の2人が言う。もちろんその中に水原さんも含まれている。水原さんは相変わらず真面目そうだが、今日はいつもよりどこか楽しそうだ。


 体育館の中にアナウンスが流れた。



「現地校の皆さんが入場します。拍手で出迎えましょう。」


 体育館の中に、拍手が広がった。

 そうして、交流会は幕を開いた。最初は型通りの日本語と英語の挨拶。両校の生徒会からの話。至って平凡だ。

 中2も中3もつまらなそうな目で開会式を過ごしていた。特に、健斗は俺を妬ましそうな目で見ている。

 あいつはどんだけ水原さんと関わりたいんだ、と呆れた目で見てやる。

 そんな中2とは裏腹に、こういう行事に慣れていない中1だけはどこか楽しそうに開会式を過ごしていた。



 そして始まったよさこい。自分達がよさこいを教えるのは3人だ。


 俺はあまり得意ではない英語に困惑して、3人の前で何から話始めようか悩んでいた。



「えーと・・・。」


 その時だった。



「Hi.My name is Nana.Nice to meet

 you.Today,We will teach 'Yosakoi Soran' for you.So~」


 いきなり聞こえてきためちゃくちゃ流暢な英語。その相手は・・・他の誰でもない水原さんだった。


 俺は10秒ほど思考が停止していた。が、思い出した。


 水原さん、元々インターナショナルスクール生じゃないか!


 ~1時間後~



「水原さん、あんなに英語話せるなら打ち合わせの時言ってくれれば良かったのに。」


 俺と水原さんは、閉会式の時に2人で話していた。



「いや、その、すみません・・・。」


「怒ってないよ!むしろ助かった。ありがとうねー。」


「いえいえ。私にできることなんて少ないですし・・・。あの、柳原先輩、これからもよろしくお願いします。」


「こちらこそよろしくね。」


 水原さんはよさこいを教え終わった後にも、現地校の生徒と楽しそうに話していた。(もちろん英語で。)


 俺は、今まで直接話したことが少なかった水原さんと一緒によさこいを教えて、少しだけ友達として距離が縮まった気がして嬉しかった。



 ~帰宅後~


 帰ってくると、携帯に通知がきていた。春奈からのLINEだった。



 《LINEのトーク》

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あの、あの、柳原くん」


「急にどうしたよ。」


「今日、菜々ちゃんがね。」


「うん。」


「先輩と仲良くなれたって喜んでました!」


「あ、そうなんだね。それは良かった。」


「もしかして、菜々ちゃんのことすきになっちゃいました~?」


「それはまだない。」


「えー、つまんないの。」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 水原さんも仲良くなれたと思っててくれたらしい。それは良かった。これからもこうして仲良くしていけたらいい。

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