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俺、テンプレに会いました



 俺たちはブラッディウルフの討伐を終えると、ギルドからの報酬をもらいに街へと戻る。


 羽衣はさっきから顔を赤くしてもじもじとしている。なんだ?どうしたんだ?



「なあ、羽衣、どうしたんだ?さっきからなんか顔赤くないか?」


 すると羽衣は慌てた様子で否定してくる。


「な、なんでもないのじゃっ!さ、さあ、早ようギルド会館までいくぞ!妾はもう疲れたのじゃ!.......け、賢人」


 今、声裏返ってたよな......こいつもしかして俺の名前呼ぶのに緊張してるのか。意外と可愛いやつなんだなー。へぇー。



「......へぇー」


「な、なんじゃ、賢人!貴様、何をニヤニヤとしておるかっ!!......なんなのじゃーっ!!」




ーーーーーーーーーー



「え、ええっ!? もう討伐して来たんですか!??」


 ギルド会館に着いて報酬を頼むと、受付嬢が驚いている。この世界ではモンスターを倒すとその証としてドロップアイテムが落ちることになっているので誤魔化しようがない。今回受けたクエストはブラッディウルフ50体の討伐だ。


「本当に血狼の牙、50個ありますね.....すごいです!!」



あ、この流れなんかゲームとかで見たことある。なるほど、異世界転生するとステータスなどもかなり優遇されると羽衣が言っていたが、本当のようだ。


 だが、俺は知っている。初日からの悪目立ち。この流れからすると、次にやって来るのは.......



「おいおい兄ちゃん、可愛い姉ちゃん連れて、随分調子良さそうじゃねえか〜」


 あー。やっぱりね。知ってた。こういうところって、「期待の新星」とかが現れるとこういう奴が潰しに来るんだよな〜。どこの世でも出る杭は打たれるってな。



 俺が頭を抱えていると、そいつは俺が無視していると思ったのか胸ぐらに掴みかかって来る。おい、羽衣、なんかお前さっきから楽しそうな顔してないか?



「無視とは随分と偉そうじゃねえかおいっ!!表出ろや!この世界の厳しさって物をおしえてやらあ!!」


 俺は渋々、外に出て戦うことになった。



ーーーーーーーーーー



 俺達の周りには人だかりが出来ている。


 なんでもギルド加入初日からDランク昇格の期待の新星対、初心者殺(ルーキーキラー)しという2つ名を持つBクラス冒険者、ボルドーとの対決!!という事らしい。


 現代育ちの俺には馴染みがないが、羽衣曰く、冒険者通しの野良喧嘩はこの世界では珍しいことではないらしいので、周りの人達も手慣れた様子で囃し立てている。


「ここのしきたりでなあ。調子乗ってる奴にはまずここで鼻っ柱を折っとこうってハナシよ。 おらっ!兄ちゃんいくぞ!!」


 ボルドーと名乗った男はスキンヘッドで筋骨隆々、そのでかい図体とは裏腹に、かなりのスピードで突っ込んで来る。


「うおっ!?」


 速い。初心者殺しの異名は伊達じゃない。大振りの斧を軽々と、かなりのスピードで振り回して来る。


 これはまともに打ち合えばこっちの剣が先に潰れるな......


 そう判断した俺はしばらく回避に努める。


 こいつ、パワーとスピードは大したもんだけど、大振りになるまで......見極めればっ!!



 ここだっ!!


「はぁぁぁぁああっ!!」


 ー九頭流 剣術・守式弐型(しゅしきにのかた) 薙撃龍(なぎうつりゅう)




 人間、回避し続けられればストレスが溜まる。だが一方、避けるということは当たりさえすれば倒せる、そう考えれば嫌でも武器を持つ手に力が入るだろう。


 握る力が強ければ強いほど、人間の手というのは横からの衝撃に弱い。薙撃龍は大振りになり、余計な力が入った相手の武器の腹に自身の剣をぶつけ、相手の武器を弾き飛ばす、俺が学んだ九頭流の守りの技だ。



「がっ......!??ま、待てっ!!わ、分かった、降参だ!降参だよ!!俺が悪かった!!」


 俺がボルドーの首に剣を当てたところで、この戦いは終わりを迎えた。

 



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