表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星天の家系図  作者: 夜城 宴
優美のハニエル
10/14

9.血縁関係その2

華麗にきまったアッパーは亮の体を垂直に吹き飛ばし、亮の上半身は木製の天井に突き刺さる形になった。


「い、いでぇ!?」


言葉を発してすぐに違和感に感づく。確かに先ほどのアッパーは、馬鹿みたいに激痛だった。ローズルに急所を蹴られた時かそれ以上に……。

ならばなぜ、この痛みで現世に戻ってないのだろうか。そこに疑問を抱いていると、すぐにとんでもない力で足を引っ張られ、視界はコンパスの円を書くように揺れる。次に来た衝撃は、大の字で床に張り倒された全身からだった。

これが漫画であれば、ビターンなどという効果音が鳴っていたのだろうが、亮の耳に入った音が、バキッであるところがなかなか笑えない

鼻が折れてないことを確認しつつ、起き上がって、未だご立腹の様子らしいフーリと対面する。


「しょ、書物を勝手に読んだことは謝る。すまなかった。でもお前にも一つ、言いたいことがある」


やられっぱなしではたまらないと亮は反撃に出る。


「なによ」


至って平然なフーリと、


「ローズル。お前もだ」


「え?なに〜?」


ポカーンとした顔のローズル。


「お前ら二人はやり方が強引すぎだ!一人は急に股間を蹴ってくるわ、一人は前世で話をする為とはいえ急に殺してくるわ!」


説教を垂れるつもりは無いが、これだけは言っておかねばなるまい。


「だって男の人の弱点を蹴ったら、現世に戻れるか試したかったんだもん」


「あの時は変な巨乳が入ってきてムカついてたのよ」


お二人共、素晴らしいまでの自己中心的思考であ

る。


「あのな…。人の事を考えようか?せめて事前に説明をするとかさぁ」


「はぁい」


「わかったわかった」


どうも分かってくださらないらしい。これ以上は無駄と判断し、諦める事にする。


「それとこの重い腕輪。なんで俺に付けたんだ?」


「私も付けてるよ〜!」


ローズルはスカートを軽く捲し上げると、太ももあたりに亮と同じく、重そうな腕輪(?)を見せた。


「簡単に言うわね。それを付けてるとどれだけ荒ぶっても現世に戻ることは無いわ」


ふむ。大体見当はついていた。


「つまりどれだけあなたを殴っても、現世に逃げられないということね」


ふむ。その考えは無かった。


「それとどういうわけか、この腕輪。前世に来た人の人数分が勝手に出てくるのよねぇ。机の上に書いてある魔法陣から」


そいつはまたとんだファンタジー設定だな。

フーリは自分の腕輪も持ってきていたのか、ローズルと同じく足につける。恐らく二人共、腕だと大きすぎて合わないのだろう。


「あ、そうだ。ローズル、お前さっき何を言おうとしてたんだ?危うく忘れるところだったぞ」


「? 二人共、一体何の話をしていたの?」


フーリが訝しげに聞いてくる。


「え、え〜と……」


さっきは普通に喋ろうとしていたローズルが、何故か今になって口篭る。そこで亮は〝エサ〟を垂らしてみる作戦に出る。


「言ってくれれば、俺の体の大事な一部を蹴ったことは許そう」


「!ほんと!?」


馬鹿は簡単に引っかかった様だ。


「あぁ、もちろんだ」


「分かった!えっとね、フリッグっていうのは、なんと!ここにいるフーリお姉ちゃんの本名なのです!」


「え」


「ッ!?」


ローズルの口から出てきた言葉はなんとびっくり、フーリの書物に書いてあったフリッグなる人物は、ここにいるフーリの本名だということ。

つまりそれは同時に、そして必然的に、亮の妻が目の前のフーリになる訳で………。

亮は、鎮まりかけていたフーリの怒りが、再び強く燃え上がるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ