ヒーローの自惚れ
夢?夢?この世界が?夢?誰の?
――――――この世界は俺が中心なんだから、当たり前か―――――――
「そう、この世界は僕の夢だ」
笑いながら戸惑う僕に声をかける。
「僕が生まれて大体15年。多分だけど、その時にこの世界が始まった。
輝久が生まれた瞬間に出来た夢だ。君の生きてきた年齢がこの世界の創立時間」
15年……お父さんの記憶もお母さんの記憶も全て偽物?
「僕は昔から夢の中で夢だと気付くことが多くてね」
僕たちは夢の中だから夢を見ないの?
「いつしか、自分の意のままに動かせるようになったんだ」
怪獣を作りだしたのも彼?怪獣に殺されたC君のお母さんや、Sちゃんの弟も彼が殺した?
ヒーローがヒーローになる為に?
「この街並みは僕も見たことないところだから、本当に一から作られた町なんだろうね」
大工の人が一生懸命立てた家、美術館、学校、全て彼のおかげ?彼のせい?
「僕が来るときはいつも夜だろう?
多分だけど、瞼を閉じて眠っているからじゃないかな。開けているときは起きている気だからここに来られないし。でも多分明るいんだろう?」
「……はぃ」
カラカラに乾いた喉から搾り出たこの声も、彼の意思によって発せられる?
僕たちはなんなんだ。
何のために生きているんだ。
どうして。
「俺は気付いたんだ、この世界にも僕の知った顔が幾つもいる。記憶から作られている人物なんだろう。そこで思ったんだよ、俺もいるんじゃないかって。」
「それが……僕。」
「そうだ」
僕は彼。
彼は僕?
「まあ、探し出してどうこうしようってわけじゃないんだけどさ。
見てみたかっただけだよ。じゃあね。小さい俺君」
お父さんとお母さんはお通夜に行っている。
親友とも呼べる従兄弟が怪獣のせいで死んでしまったから。
きっと彼はそんなこと知らない。
ただ怪獣を出して、倒してヒーローになる、それだけだ。
その地位の下にはどれだけの死体が重なっているのかを知らない。
僕たちにも感情があることを、知らない。




