僕と彼の共通点
「ねえ、君ってどこか俺に似ていると思わない?」
彼はにやりと笑いながら僕に話しかける。
彼が僕に疑問形で話しかけると必ず返答してしまう。
直前までは「答えるもんか」と固く誓っていてもいざ聞かれると「必ず答えなければいけない」衝動に駆られる。
「少し……似ていると思います」
口が無意識に動いてすらすらと答えが出ていく。
まるで自分の意思じゃないようだ。
「君はこの世界をどう思う?」
「変だと思います。」
「他の人はどう思っているのかな」
「普通だと思っています、僕が変だと言ったらとても怒られました」
「そうだよな」
「はい」
「この世界は俺が中心なんだから、当たり前か」
幾ら街を救っていたって、この世界が自分の物だと言うのは口が過ぎる気がする。
そんな思いが顔に出ていたのか、彼は笑う。
「そんな渋い顔をしないでくれよ」
「すみません」
ポーカーフェイスには少し自信があったのに、彼の前でまさか気持ちを出してしまうなんて。
「君は変わっているね」
「よく言われます」
いつからか、周りを冷めてみるようになった。
可愛げがないとか、大人しいとか、愛想がないとか、賢いとか、周りの大人はみんな好きに言うけれどイマイチ良く分からない。
僕は僕だから。
「なあ、輝久。どうして俺と似ているか教えてあげようか?」
「……。」
「知りたいか?」
「はい」
口が動く。
知りたくない。巻き込まれたくない。
でも、本当は知りたい。
「君は、僕なんだよ」
そう言って彼はまたにやりと笑った。