夜が嫌いな理由
「どうして空が明るいの?」
母に聞いたことがある。
何か光源があるわけでもなく、ただただ明るくなる空に疑問を抱いたのだ。
「どうしてって?朝がくるからでしょう?」
「何が明るくしているの?」
「何がって、空がでしょう?」
「じゃあ、どうして暗くなるの?」
「夜になるからでしょう?」
部屋の電気が消えるようにパッと消えるような時や、徐々に徐々に薄暗くなる時や、昼と夜をこまめに繰り返すような時も、皆気にしていない。
「どうして僕たちは夢をみないの?」
「どうしてって、お伽噺だからだろう?」
「誰も見ないの?」
「誰も見ないよ」
「どうして?」
「どうして?迷信みたいなものさ」
そう教えられた。
それから、たまに変わった男の子が来る。
空を飛んでいたり、彼が来ると怪獣が出たり。
「あれはだあれ?」
父に聞いたら
「彼はヒーローだよ」
そう答えた。
とても強い怪獣を倒したり、超能力や時には魔法を使ったりすると教えてもらった。
けれども、僕は違うと思う。
彼が来ない日は怪獣もこない。
彼が来る日は怪獣が来る。
「怪獣が出るから彼が来るのではなくて、彼が来るから怪獣が出るんじゃないの?」
そう尋ねたら鬼のような顔をして怒られた。
叩かれて、見たこともない様な怖い顔で叱られた。
「彼は俺たちの為に戦ってくれているんだぞ」
「自分の命が危ないのに、助けてくれるんだぞ!」
「謝りなさい!」
『ごめんなさい』
「もっと」
『ごめんなさい』
そうやって何度も何度も謝罪をさせられたから、彼の事を他の人たちの前で話題に出すのをやめた。
彼の事は誰も知らない。
どこに住んでいるかも、何をしているのかも。
皆はきっと変身しているから分からないんだと言うけれど、僕はなんだか違う気がする。
僕は夜が嫌いだ。
彼が来るときは必ず夜の時間だから。




