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第一章:プロローグ
遥か古の時代、大国ダーナ創建の折、王の傍らには4人の賢者がいたと云う。
彼らは自然や精霊と対話し、その力を借りることで不思議の術を操った。それは今はもう忘れ去られるばかりの、古の秘術。
そして彼らは各々の性質に合わせ、火・水・風・土の四大元素を操った。
その不思議の術で、ただ荒れるだけのこの世界を平穏へと導いた。
王はその功績を称え、彼らに土地を賜った。火を操りし者には、火の精の多い砂漠の地を。水を操りし者には、水清き潤沢なる地を。風を操りし者には、良き風の通る開けた地を。地を操りし者には、緑多き恵みある地を。
彼らは国が安定した後、各々の治める地に戻り陰ながら国を支えた。
国の危機には再び四方の民は集まり、その象徴たる印章に賭けて国を守るという誓いを残して。
そして彼らが死した後も、その子孫が土地と意志と力を守り続けた。
しかしそれは、遥か昔の物語。
神話と入り混じる、謎に満ちた太古の記録。
今はもう信じる人さえ少ない伝承だが、それは確かに今も王家と四方の民に受け継がれているという。